2015年上期 IPOレポート(総括) | KPMG | JP

2015年上期 IPOレポート(総括)

2015年上期 IPOレポート(総括)

2015年上期のIPO市場の動向をまとめたレポートをお届けします。

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a)概況

2015年上半期の新規上場会社数は、前年同期比約65%増(+17社)の43社となり、四半期ベースの新規上場会社数は20社を超えるペースで推移しています。IPO市場が低迷していた2011年の四半期ベースの新規上場会社数が一桁で推移していたことからすると回復感が顕著になりました。これで、同期比較としては、2009年以来6年連続で増加しました。
株式市場では、主要国の金融緩和を背景とした潤沢な投資資金が日本市場に流入しました。日本企業の自己資本利益率(ROE)の改善や賃上げの取り組みを評価するなか、約7年10か月ぶりのドル高円安水準を受けて、日本企業の業績拡大期待が高まり、東証一部の時価総額は1989年以来となる600兆円を超える場面もありました。また、未上場ベンチャー企業のなかには、多額の資金調達を実施する事例も目立ち、新規上場を目指す経営者の裾野が広がっています。他方で、新規上場から間もない時期に会計不祥事や業績の下方修正が頻発していることを重く受け止めた日本取引所グループは、今年3月に新規上場に関する規制強化を公表するなど、上場を目指す企業においては、なお一層の内部管理体制の強化が求められます。

市場別の新規上場会社数は、東証マザーズが21社増の31社に伸ばし、前年同期比較では、1999年の市場創設以来、最大となりました。他方で、東証一部は4社減となりました。
最近5年間の市場別の新規上場会社数ならびに業種別分布については以下の通りとなっています。

最近5年間の市場別新規上場会社数(上半期比較、単位:社)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 前年
同期比
増減
上半期
IPO社数
13 17 20 26 43 +17
年間
IPO社数
(36) (46) (54) (77) (-)  
東証1部 1 3 5 1 -4
東証2部 4 3 3 3 ±0
マザーズ 2 7 8 10 31 +21
ジャスダック 6 9 6 7 7 ±0
アンビシャス 1 1 +1
名証2部 1 -1

また、新規上場会社の業種別では、上位3業種は、引き続き、情報・通信業、サービス業、小売業となり、約3分の2を占めました。

新規上場会社の業種別内訳

業種 社数 シェア
情報・通信業 12 27.9%
サービス業 10 23.3%
小売業 7 16.3%
機械 3 7.0%
不動産業 3 7.0%
医薬品 2 4.7%
水産・農林業 1 2.3%
建設業 1 2.3%
金属製品 1 2.3%
精密機器 1 2.3%
その他製品 1 2.3%
卸売業 1 2.3%

2015年上半期に新規上場した会社のテーマとその事例としては、以下の点が挙げられます。

1.EコマースやIoT分野の拡大に伴うBtoBサービス

  • ALBERT(M)
    (ビッグデータ統合管理、分析コンサルティング、マーケティング施策に活用するシステム提供)
  • ジグソー(M)
    (IoTビッグデータをベースとした、インターネットシステムの自動マネジメントサービス事業)
  • ショーケース・ティービー(M)
    (Webサイト最適化技術により成約率を高めるツールの提供及びWebマーケティング支援)
  • コラボス(M)
    (クラウドサービスとして、コールセンター運営に必要な諸機能を提供する事業)

2.内需の回復を受けた小売業(外食を含む)の復調

  • ヒューマンウェブ(M)
    (牡蠣を主体とするレストラン(オイスターバー)の直営店舗経営及び牡蠣の卸売事業)
  • エスエルディー(JQS)
    (「kawara CAFÉ&DINING」ブランド等での飲食店舗の展開)
  • Hamee(M)
    (モバイルアクセサリーのコマース事業、EC事業者向けクラウド型プラットフォーム事業)

3.ニッチな領域においてサービスを提供するニューサービス

  • マーケットエンタープライズ(M)
    (インターネット型リユース事業)
  • リンクバル(M)
    (街コンイベントの企画及び開催並びに街コンポータルサイトの運営)
  • 日本動物高度医療センター(M)
    (犬・猫向けの高度医療を行う二次診療専門動物病院)
  • ファンデリー(M)
    (健康食宅配事業及び企業向けマーケティング支援事業)

4.投資許容度の向上を背景とした不動産を含む投資関連サービスが増加

  • ファーストロジック(M)
    (不動産投資のポータルサイト運営)
  • シーアールイー(東2)
    (物流施設を中心とした事業用不動産の総合サービス)
  • ファーストブラザーズ(M)
    (投資運用事業及び投資銀行事業)

(注)東2は東証二部、Mはマザーズ、JQSはJQスタンダードを、事業内容は中心となる事業を抜粋して記載しています。また、プロ投資家向け市場のTOKYO PRO Marketについては記載の対象外としています。

b)2015年上半期 新規上場会社の分析

1)売上高

・( )内は2014年(1~6月)数値
・直前決算期連結(連結なしの場合は単体)

※中間値とは各市場上場企業数の上下真中順位企業の数値、複数ある場合は2社の平均

(売上高 ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
売上高(概算:百万円)
メニコン
6月25日
精密機器
東証一部
62,209
シンデン・ハイテックス
3月25日
卸売業
JQスタンダード
38,394
シーアールイー
4月21日
不動産業
東証二部
22,089
冨士ダイス
6月25日
機械
東証二部
15,041
ハウスドゥ
3月25日
不動産業
マザーズ
13,310

【下位5社】

会社名/上場日
業種/市場 売上高(概算:百万円)
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
204
ヘリオス
6月16日
医薬品
マザーズ
280
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
359
ジグソー
4月28日
情報・通信業
マザーズ
506
デザインワン・ジャパン
4月30日
サービス業
マザーズ
545

2)経常利益

・( )内は2014年(1~6月)数値
・直前決算期連結(連結なしの場合は単体)

※中間値とは各市場上場企業数の上下真中順位企業の数値、複数ある場合は2社の平均

(経常利益 ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
経常利益(概算:百万円)
メニコン
6月25日
精密機器
東証一部
2,551
シーアールイー
4月21日
不動産業
東証二部
2,354
冨士ダイス
6月25日
機械
東証二部
1,088
RS Technologies
3月24日
金属製品
マザーズ
819
日本スキー場開発
4月22日
サービス業
マザーズ
751

【下位5社】

会社名/上場日
業種/市場
経常利益(概算:百万円)
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
▲1,366
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
▲587
ヘリオス
6月16日
医薬品
マザーズ
▲477
中村超硬
6月24日
機械
マザーズ
▲415
Aiming
3月25日
情報・通信業
マザーズ
▲284

3)資金調達額(公募)

・公募のみ(自己株式処分を含む。公募価格×公募株式数で算出)
・( )内は2014年(1~6月)数値

※中間値とは各市場上場企業数の上下真中順位企業の数値、複数ある場合は2社の平均

(資金調達額(公募)ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
資金調達額(概算:百万円)
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
8,000
ヘリオス
6月16日
医薬品
マザーズ
7,272
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
5,320
シーアールイー
4月21日
不動産業
東証二部
5,278
ファーストブラザーズ
2月18日
不動産業
マザーズ
2,652

【下位5社】

会社名/上場日
業種/市場
資金調達額(概算:百万円)
エコノス
6月24日
小売業
札証アンビシャス
60
日本動物高度医療センター
3月26日
サービス業
マザーズ
150
日本スキー場開発
4月22日
サービス業
マザーズ
221
ファンデリー
6月25日
小売業
マザーズ
230
エスエルディー
3月19日
小売業
JQスタンダード
248

4)初値時価総額

・( )内は2014年(1~6月)数値

※中間値とは各市場上場企業数の上下真中順位企業の数値、複数ある場合は2社の平均

(初値時価総額 ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
初値時価総額(概算:百万円)
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
74,591
ヘリオス
6月16日
医薬品
マザーズ
58,413
メニコン
6月25日
精密機器
東証一部
52,640
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
33,255
Aiming
3月25日
情報・通信業
マザーズ
32,916

【下位5社】

上場日会社名/上場日 会社名業種/市場 初値時価総額(概算:百万円)
エコノス
6月24日
小売業
札証アンビシャス
1,000
エスエルディー
3月19日
小売業
JQスタンダード
2,387
シンデン・ハイテックス
3月25日
卸売業
JQスタンダード
2,771
ヒューマンウェブ
3月19日
小売業
マザーズ
2,836
海帆
4月17日
小売業
マザーズ
3,210

c)新規上場時の初値状況について(2015/1月~6月)

※騰落率は対公募価格比で算出

  2014年
(1-6月)
2014年
(通年)
2月 3月 4月 6月 2015年
(1-6月)
社数 26社 77社 6社 15社 12社 10社 43社
平均初値騰落率※
61.7% 91.1% 55.1% 72.2% 73.9% 118.0% 80.9%
(最高騰落率)
250.0% 462.5% 115.7% 332.0% 350.0% 344.9% 350.0%
(最低騰落率) ▲14.6% ▲20.4% 2.5% ▲23.6% ▲14.5% 11.8% ▲23.6%
公募価格割れ 7社 15社 0社 1社 2社 0社 3社

(初値騰落率 ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
初値騰落率
テラスカイ
4月30日
情報・通信業
マザーズ
350.0%
スマートバリュー
6月16日
情報・通信業
JQスタンダード
344.9%
エムケイシステム
3月17日
情報・通信業
JQスタンダード
332.0%
デジタル・インフォメーション・テクノロジー
6月18日
情報・通信業
JQスタンダード
246.2%
ジグソー
4月28日
情報・通信業
マザーズ
236.4%

【下位5社】

会社名/上場日
業種/市場
初値騰落率
RS Technologies
3月24日
金属製品
マザーズ
▲23.6%
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
▲14.5%
シーアールイー
4月21日
不動産業
東証二部
▲7.3%
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
0.0%
ファーストブラザーズ
2月18日
不動産業
マザーズ
2.5%

d)新規上場会社主幹事証券会社状況(2015/1月~6月)

証券会社 主幹事会社数 2015年(1-6月)
シェア
2014年(通年)
シェア
野村 13社 30.2% 33.8%
SMBC日興 11社 25.6% 10.4%
大和 5社 11.6% 27.3%
みずほ 5社 11.6% 9.1%
SBI 4社 9.3% 6.5%
SMBCフレンド 2社 4.7% 0.0%
岡三 2社 4.7% 0.0%
東海東京 1社 2.3% 3.9%
合計 43社    

 

証券会社   主幹事会社数   2015年市場別内訳
東証 マザーズ ジャスダック 札A
野村 13社 2 10 1  
SMBC日興 11社 1 8 2  
大和 5社 1 3 1  
みずほ 5社   4 1  
SBI 4社   4    
SMBCフレンド 2社   1 1  
岡三 2社     1 1
東海東京 1社   1    
合計 43社 4社 31社 7社 1社

e)新規上場会社監査法人状況(2015/1月~6月)

監査法人名   社数   2015年
(1-6月)
シェア
 
2014年
(通年)
シェア  
2015年地域別内訳  
首都圏
(1都3県)
その他
新日本有限責任 14社 32.6% 23.4% 9社 5社
有限責任 あずさ 10社 23.3% 28.6% 7社 3社
有限責任トーマツ 9社 20.9% 36.4% 8社 1社
東陽 3社 7.0% 0.0% 3社
太陽有限責任 2社 4.7% 5.2% 1社 1社
京都 1社 2.3% 1.3% 1社
優成 1社 2.3% 1.3% 1社
三優 1社 2.3% 1.3% 1社
東海会計社 1社 2.3% 0.0% 1社
清友 1社 2.3% 0.0% 1社
合計 26社 100.0%   30社 13社

f)新規上場会社地域別状況(2015/1月~6月)

  2015年(社数:シェア) 2014年(シェア)
東京 28社 65.1% 57.7%
神奈川 2社 4.7%
千葉
埼玉 3.8%
北関東 7.7%
北海道 3社 7.0%
東北 3.8%
北陸
甲信
静岡
愛知 3社 7.0% 3.8%
東海
大阪 4社 9.3% 3.8%
京都 1社 2.3% 3.8%
兵庫 1社 2.3%
近畿 3.8%
中国
四国
九州 1社 2.3%
その他 3.8%

※北関東(茨城、栃木、群馬)、甲信(長野、山梨)、北陸(新潟、富山、石川、福井)、東海(岐阜、三重)、近畿(滋賀、奈良、和歌山)、九州(九州、沖縄)を表示しています。

g)会社設立後経過年数状況(2015/1月~6月)

経過年数 東1 東2 マザーズ JQ 札A
~5年     7     7社
5~10年   1 10     11社
10~15年     8 3   11社
15~20年     3 1   4社
20~30年     2 1   3社
30年~ 1 2 1 2 1社 7社
合計 1社 3社 31社 7社 1社 43社
最短 71年8か月 5年3か月 2年1か月 10年7か月 51年3か月 2年1か月
最長 65年9か月 44年6か月 68年0か月 71年8か月

(会社設立後経過年数 ランキング)

【上位5社】

会社名/上場日
業種/市場
経過年数
サンバイオ
4月8日
医薬品
マザーズ
2年1か月
Gunosy
4月28日
サービス業
マザーズ
2年5か月
リンクバル
4月28日
サービス業
マザーズ
3年4か月
ファーストコーポレーション
3月24日
建設業
マザーズ
3年9か月
Aiming
3月25日
情報・通信業
マザーズ
3年10か月

【下位5社】

上場日 会社名 経過年数
メニコン
6月25日
精密機器
東証一部
71年8か月
スマートバリュー
6月16日
情報・通信業
JQスタンダード
68年0か月
ホクリヨウ
2月20日
水産・農林業
東証二部
65年9か月
冨士ダイス
6月25日
機械
東証二部
59年2か月
エコノス
6月24日
小売業
札A
51年3か月

まとめ

2010年以降に金融庁や東証による様々な市場活性化が講ぜられたことを受けて、2009年の19社から2014年は77社まで回復し、2015年上半期についても43社が新規上場を果たしました。一方で、新規上場間もない時期に、経営者の不適切な取引が発覚したり、業績下方修正を行うケースが頻発したため、市場の信頼性確保に向けて、本年3月31日に日本取引所グループより『 最近の新規公開を巡る問題と対応について』が公表されました。(※通達の骨子は、以下の三点)

  1. 新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応
    (経営者の関与する取引の確認、独立役員面談、セミナー実施)
  2. 上場直後の業績予想の大幅な修正への対応
    (業績予想の前提条件・根拠の開示等)
  3. 上場時期の集中への対応
    (主幹事証券会社に対する上場スケジュールの事前調査の充実)

今後の上場審査への影響が懸念されるところですが、企業経営者の株式上場に対するセンチメントは大きく改善しており、主幹事証券、監査法人等のIPO関係機関のサポート体制が拡充しています。

また、日本の証券市場のグローバル化については、社外取締役の選任を含めたコーポレートガバナンスの在り方だけでなく、会計面の国際化も話題となっているところです。昨年はIFRS(国際会計基準)を活用した新規上場事例が2社ありました。その背景として、2014年8月20日に『企業内容等の開示に関する内閣府令等』の改正が公表され、比較情報を含む最近連結会計年度(2期分の連結貸借対照表と2期分の連結損益計算書等)に係る連結財務諸表の記載が必要になりました。この改正により、IPO時に日本基準とIFRSのどちらを適用しても、開示に必要な書類に差異はなくなったことが挙げられます。今後のIFRSを適用した新規上場会社の広がりも注目されるところです。

あずさ監査法人では、中堅・ベンチャー企業の様々なニーズに的確に対応するべく、設立以来、日本の新興・ベンチャー企業の発展と歩調を合わせて歩んできました。2011年に立ち上げた「企業成長支援本部」は、専門性の高い人材力を武器にさまざまなベンチャーのIPOをサポートしています。IPOを通じてベンチャー企業の資金調達力や信用力の向上に貢献し、成長の加速をお手伝いすることが私たちの使命だと考えています。そのため、私たちは企業のビジネスモデルをきちんと理解し、企業成長に役立つ最適な支援を提供していきたいと思っています。

私どもあずさ監査法人では、スタッフ一同、皆様の上場準備が順調に進むことを心から願っております。

IPOサポート室長 鈴木智博

株式上場(IPO)に関するトピック解説

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