金融庁が経済価値ベースのソルベンシー規制の導入に係るフィールドテストの結果を公表

金融庁が経済価値ベースのソルベンシー規制の導入に係るフィールドテストの結果を公表

(平成27年6月25日 金融庁)2015年6月25日、金融庁は、すべての保険会社(生保43社、損保53社)を対象に平成26年6月から平成27年1月にかけて実施した「経済価値ベースのソルベンシー規制の導入に係るフィールドテスト(フィールドテスト)」の結果の概要を公表しました。

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1.背景と目的

経済価値ベースのソルベンシー規制は、資産負債の一体的な時価評価を通じ、保険会社の財務状況を的確に把握しようとする枠組みであり、今回のフィールドテストは、平成22年6月から12月にかけて実施された第1回に続き2回目の実施となります。

フィールドテストの目的は、全保険会社を対象に、経済価値ベースの保険負債等の計算の実施を要請し、各社の対応状況や実務上の問題点等を把握することです。フィールドテストでは、経済価値ベースの保険負債や資産負債の一体的な金利リスクの計算等を試行的に実施し、その計算過程における実務上の問題点等について、アンケート方式により回答を求める他、リスクの種類毎に、各社におけるリスク管理方法の概要及び内部モデルについても、アンケートによる定性的な調査が行われました。

2.計算方法と前提条件

フィールドテストにおける保険負債は現在推計とリスクマージンの合計額とされ、平成26年3月31日を計算基準日として、以下のような前提条件の下で計算されました。

  • 保証とオプションのコストを考慮した将来キャッシュフローの現在価値を現在推計とする。
  • 契約1件ごとに計算することを原則するが、同種のリスク特性を持つ契約群団については、群団単位での計算を許容する。
  • 通貨別に区分して計算することを原則とし、外貨建は基準日の為替で円に換算する。
  • 支払備金については、基準日における既発生保険事故に係る将来キャッシュフローを最良推計とし、割引率で割り引くことにより金銭の時間的価値を考慮した評価を行うことを原則とする。
  • リスクマージンは資本コスト法により計算する。

リスク量については、保有期間1年、信頼水準99.5%VaR相当のショックを保険事故発生率等の基礎率に与えた場合の翌年度末の純資産の減少額をリスク量とするストレス方式が原則として採用されました。また、前回から以下のような点が変更されています。

  • 信頼水準について、前回の原則95%VaRから99.5%に変更された。
  • 保険引受リスクの一部についてプロセスリスクとパラメータリスクをそれぞれ算出し、それらを統合することにより各リスクカテゴリーのリスクを計測する手法が採用された。
  • 保険引受リスクの対象とするリスクの範囲に支払備金リスクが追加された。
  • 金利リスクの計算について、年限別ショックシナリオ法、分散共分散法、モンテカルロ法に加え、主成分分析を用いたショックシナリオ法でも計算することとされた。
  • リスク統合に係る相関係数について一部変更された。

3.確認結果及び課題

1)経済価値ベースの保険負債評価

  1. 生保においては、現行の保険負債よりも若干多く、損保においてはほぼ横ばいであった。保有する保険契約の構造等の違いにより各社で傾向の違いが見られ、今後割引率の設定方法等が保険負債に与える影響については、引き続き十分に検討する必要がある。
  2. 保証とオプションのコストについては、各社が保有している内部モデルと金融庁指定のモデルとはかなり水準に違いがあり、比較可能性を担保する観点から、今後どのような手法が適切かといった点について、検討が必要である。

2)リスク量

  1. 現行のソルベンシー規制の信頼水準がVaR95%であること、計測対象リスクやリスクの統合手法の違いなどがあることから単純比較はできないが、フィールドテストにおけるリスク量は現行制度に比べ増加しており、全社ベースの「資本・リスク比率(=マージン/リスク量)は、生保合計で約150~190%、損保合計で約190~220%程度となった。
  2. 99.5%VaRという水準の適切性、TVaRなどVaR以外の手法との比較といった問題について、今後も検討が必要である。

4.今後の検討の方向性

  1. 前回に引き続いて様々な課題が認識され、その結果を踏まえつつ、今後更に具体的な制度作成に向けた検討を進める必要がある。
  2. 保険監督者国際機構(IAIS)による保険資本基準(ICS)のフィールドテスト、欧州のソルベンシーII、IFRS第4号「保険契約」の検討が進められており、わが国の保険市場の特性なども踏まえながら、わが国にふさわしい規制内容を構築することが重要と考えられる。
  3. 経済価値ベースのソルベンシー規制の導入は、これまでの保険会社における経営管理手法やリスク管理手法に相応の見直しを伴うものである。したがって、今後の円滑な制度導入に向け、様々な場面において関係者との対話を重視し、着実に新たな枠組み作りを進めていきたいと考えている。

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