IFRSオンライン基礎講座 収益(IAS第18号) | KPMG | JP

IFRSオンライン基礎講座 収益(IAS第18号)

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IAS第11号/第18号「収益」の会計処理について音声解説付きスライドで分かりやすく解説します。

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解説文付きスライド

このモジュールには、IAS第18号「収益」及びIAS第11号「工事契約」に関する解説が含まれる。これらの基準書は、IFRS第15号「顧客との契約による収益」の適用開始により、廃止される。

収益とは?

収益とは、持分参加者からの拠出に関連するもの以外で、持分の増加をもたらす、一定期間中の企業の通常の活動過程で生じる経済的便益の総流入をいう。物品の販売、サービスの提供、貸付金から生じる利息、提携先からのロイヤルティ、投資先からの配当などが、収益に該当する。他方、有形固定資産の売却から生じる利得は、通常の活動過程で生じるものではないため、収益に該当しない。また、消費税など、第三者のために回収する金額は、持分の増加をもたらすものではないため、収益に該当しない。

取引の識別

収益は、通常、取引ごとに個々に認識される。しかし、中には取引の単位が経済的実質を表さない場合もある。一連の取引を全体として考えなければ経済的実質が理解できない場合には、複数の取引を結合して収益認識の単位とする。他方、単一の取引が複数の識別可能な構成部分から構成される場合には、その取引を分割して、個々の構成部分を収益認識の単位とする。収益を適切に認識するためには、このように、取引の実質を反映するように収益認識の単位を決定する必要がある。例えば、単一の取引を分割する例として、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムがあげられる。

カスタマー・ロイヤルティ・プログラムとは?

カスタマー・ロイヤルティ・プログラムとは、物品やサービスを購入した顧客が、さらに物品やサービスを購入するインセンティブとして、企業が顧客に特典クレジットを与えるプログラムをいう。例えば、飛行距離に応じて付与されるマイレージや、購入金額に応じて付与される買いものポイントなどが、これにあたる。特典クレジットが、販売取引の一環として顧客に付与され、かつ、将来、物品やサービスと、無償または割引価格で交換できるものである場合は、販売取引を分割して認識する必要がある。

カスタマー・ロイヤルティ・プログラムの会計処理

このような取引においては、特典クレジットを付与する原因である取引を、引き渡した物品やサービスに関する部分と、特典クレジットに関する部分とに分割する。引き渡した物品やサービスに関する部分は、認識要件を満たした時点で収益を認識する。特典クレジットに関する部分は、その特典クレジットに関する義務を履行するまで、収益の認識を繰り延べる。

収益の測定

収益は、受領した対価、または受領可能な対価の公正価値により、測定する。通常、対価は、現金または現金同等物として受領した金額、または受領可能な金額である。ただし、対価の支払いが繰り延べられる場合には、対価は名目受取額をみなし利率で割り引いた額として測定される。割引後の金額と名目受取額との差額は、利息収益として認識する。

物品の販売

物品の販売における収益を認識するに際しては、

  • 物品の所有に伴う重要なリスク、及び経済価値を買手に移転した
  • 販売された物品に対して、継続的な管理上の関与や実質的な支配を保持していない
  • 信頼性をもって収益の額を測定できる
  • 取引に関連する経済的便益が企業に流入する可能性が高い
  • 信頼性をもって原価を測定できる

という、5つの条件すべてを満たすことが求められる。

サービスの提供

サービスの提供においては、取引の成果を信頼性をもって見積ることができるかにより、収益認識の方法が異なる。信頼性をもって測定できる場合には、期末日現在の進捗度に応じて収益を認識する。他方、信頼性をもって測定できない場合には、費用が回収可能と認められる部分についてのみ、収益を認識する。信頼性をもった見積りが可能となった場合には、その時点から進捗度に応じて収益を認識する。

信頼性のある見積り

サービスの提供に関する取引の成果を信頼性をもって見積ることができる状況とは、次の4つの条件すべてを満たす状況をさす。

  • 収益の額を、信頼性をもって測定できる
  • 経済的便益が企業に流入する可能性が高い
  • 期末日において進捗度を信頼性をもって測定できる
  • 発生済みの原価及び取引の完了までに将来要する原価を、信頼性をもって測定できる

進捗度の測定

適切な進捗度の測定方法は、取引の性質により異なる。
例えば、

  • 提供したサービスを調査し、進捗度を測定する方法
  • 現時点までに提供したサービスが、提供しなければならないサービスの全体に占める割合により、測定する方法
  • 現時点までに発生した原価が、その取引の見積総原価に占める割合により、測定する方法

などが考えられる。

提供したサービスに基づく方法は、アウトプットを参照するのに対し、発生した原価に基づく方法は、インプットを参照するという違いがある。なお、アフターサービスのように、特定の期間にわたり不確定な回数の行為により実行される取引は、実務上、定額法で収益を認識する。

利息、ロイヤルティ、配当

利息、ロイヤルティ、配当による収益は、経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ、収益の額を信頼性をもって測定できる場合に認識する。利息は、実効金利法により、収益を認識する。実効金利法については、「金融商品」のモジュールで解説する。ロイヤルティは、契約の実質に従い発生基準で認識する。配当は、支払いを受ける権利が確定したときに認識する。

総額表示と純額表示

取引の中には、対価の総額を収益として表示することが適切でないケースがある。例えば、企業が取引先A社から100で取得した商品を、取引先B社に105で譲渡する取引を行ったとする。企業が、この取引にどのように関与しているかを検討した結果、本人として関与している場合には、収益を総額表示することが適切である。他方、企業が代理人としてその取引に関与している場合には、収益を純額で表示することが適切である。

本人・代理人の判定

本人であることを示す特徴には、

  • 物品やサービスを提供することや、仕様を満たすことについて、第一義的な責任を負っている
  • 輸送や返品などの際に、在庫リスクを負っている
  • 価格設定に関する裁量権を有している
  • 顧客に対する売掛債権について、与信リスクを負っている

ことなどが含まれる。

工事契約とは?

工事契約とは、単一の資産、もしくは、設計、技術、機能、または最終的な目的や用途が密接に相互に関連、または相互に依存している複数の資産の結合体の建設工事のために、特別に交渉される契約をいう。単一の資産の例としては、建物や橋などがあり、複数の資産の結合体の例としては、工場や複合商業施設などがある。工事契約は、請負業務の開始から完了するまで、長期にわたるケースがある。そのため、工事契約収益と原価を、関連する会計期間に適切に配分することが必要となる。

契約の識別

収益は、通常、工事契約ごとに個々に認識される。しかし、中には契約の単位が経済的実質を表さない場合もある。一群の契約が一括して取り決められ、非常に密接に、相互に関連しており、同時または連続的に進行する場合には、一群の契約を結合し、単一の工事契約として収益を認識する。他方、単一の契約が多数の資産を対象としている場合、個々の資産に対し個別の見積書が提示され、個々の資産について個別に取決めがされており、個々の資産の原価と収益が区分できる場合には、契約を分割して、個々の資産の建設を収益認識の単位とする。

工事契約収益の測定

工事契約収益は、工事契約で合意された当初の収益額と、その後の契約変更、クレーム及び報奨金のうち、収益となる可能性が高く、かつ、信頼性をもって測定できるものの合計額をいう。工事契約収益は、受領した対価または受領可能な対価の公正価値により測定する。

工事契約収益・費用の認識規準

工事契約においては、工事契約の結果を信頼性をもって見積ることができるかにより、収益認識の方法が異なる。信頼性をもって見積ることができる場合には、その契約の期末日現在の進捗度に応じて、収益と費用を認識する。他方、信頼性をもって見積ることができない場合は、発生した原価のうち回収の可能性が高い範囲でのみ、収益を認識する。また、工事契約原価は、発生した期間に費用として認識する。信頼性をもった見積りが可能となった場合には、その時点から進捗度に応じて収益を認識する。

信頼性のある見積り

工事契約収益が固定価格の場合は、

  • 収益の合計額を信頼性をもって測定できる
  • 経済的便益が流入する可能性が高い
  • 契約の完了までに要する工事契約原価と、期末日現在の進捗度の両方が信頼性をもって測定できる
  • 工事契約総原価のうち、実際に発生した金額を明確に識別でき、かつ、信頼性をもって測定できる

という4つの要件を満たすときに、工事契約の結果を信頼性をもって見積ることができるとされる。
他方、工事契約収益がコスト・プラス、すなわち、原価に一定率または一定額の報酬を加えたものである場合、

  • 経済的便益が流入する可能性が高い
  • 個別に支払われるかにかかわらず、その契約に帰属する原価を明確に区別でき、かつ、信頼性をもって測定できる

という2つの要件を満たすときに、信頼性をもって見積ることができるとされる。

予想損失

工事契約総原価が工事契約総収益を超過する可能性が高いときは、予想損失をただちに費用として認識する。

見積りに変更が生じた場合、その影響は変更が生じた期の純損益で認識する。

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