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IFRSオンライン基礎講座 企業結合

IFRSオンライン基礎講座 企業結合

IFRS第3号「企業結合」の会計処理について音声解説付きスライドで分かりやすく解説します。

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解説文付きスライド

企業結合とは?

企業結合とは、取得企業が1つまたは複数の事業に対する支配を獲得する取引、またはその他の事象をいいます。
取得対象が事業に該当しない場合には、資産の取得として会計処理します。
企業結合であるか資産の取得であるかによって会計処理が異なるため、両者を適切に区別することが重要になります。
それでは、事業とはどのようなものをいうのでしょうか。

事業

事業とは、投資家等に対して、配当などのリターンを直接的に提供する目的で実施され管理される、活動および資産の統合された組合せをいいます。

事業は、インプット、プロセスおよびアウトプットから構成されます。
インプットは、建物、原材料、機械、従業員などの経済的資源をいいます。
プロセスは、戦略的経営プロセスや営業プロセスなどのシステム、手順、慣習、規則などをいいます。
アウトプットは、商品、製品、サービスなどの成果をいいます。
インプットとプロセスは事業であることの必須条件ですが、アウトプットは必須条件ではありません。

取得法の流れ

それでは、企業結合の会計処理の全体像をみてみましょう。
企業結合は「取得法」で会計処理します。

IFRSではすべての企業結合に取得法を適用することとされており、いわゆる持分プーリング法の使用は認められません。
取得法ではまず、取得企業を識別します。
次に、取得日を決定します。
さらに、対価を決定し、識別可能な資産・負債、および非支配持分の認識と測定を行い、最後にのれんまたは割安購入益の認識と測定を行います。
このように、取得法とは、誰が、いつ、いくらで何を取得し、それをどう会計処理するかを決定するという一連の手続きをいいます。
それでは、取得企業の識別から、少し詳しくみていきましょう。

取得企業の識別

取得企業とは、被取得企業に対する支配を獲得する企業をいいます。取得法では、結合企業のうちのいずれか1社を取得企業として識別しなければなりません。
支配は、事業について活動を指図する「パワー」、その事業から獲得する「リターン」、およびパワーとリターンの「関連性」の3つの要素を備えていなければなりません。
この3つの要素がそろって初めて、取得企業が事業を支配していることとなります。
支配については、IFRS 基礎講座「連結財務諸表」のモジュールで解説しています。

支配の概念だけでは取得企業を識別できない場合

例えば、A社とB社が合併を行った場合、どちらが取得企業となるでしょうか。
まず、A社とB社のいずれが「支配」を獲得したかを検討します。
ただし、「支配」の概念だけでは取得企業を識別できない場合もあります。
そのような場合は、結合後企業における相対的な議決権の割合、ガバナンスの構成、結合企業の相対的規模などの要因を考慮して取得企業を識別します。

取得日の決定

次に、取得日を決定します。取得日とは、取得企業が被取得企業に対する支配を獲得する日をいいます。
多くの場合は契約上の企業結合実施日と一致しますが、必ずしも形式的な契約日付に限られません。

対価の決定

次に、対価を決定します。
移転対価には、現金や株式などの旧所有者に引き渡した資産のほかに、旧所有者に対する負債、取得企業が発行した資本持分なども含まれます。
対価は公正価値で測定します。
なお、弁護士報酬のように、企業結合のために発生する費用を取得関連コストといいます。
取得関連コストは対価には含めず、発生時の費用として会計処理します。

資産および負債

取得企業は、企業結合で取得した資産および引き受けた負債のうち、取得日時点において識別可能な取得資産・引受負債の認識と測定を行います。
資産および負債は、IFRSの概念フレームワークにおける資産と負債の定義を満たし、かつ取得企業と被取得企業が企業結合取引で交換したものの一部である必要があります。
識別可能な取得資産および引受負債は、原則として、取得日の公正価値で測定します。

資産および負債の認識・測定

それでは簡単な例でみてみましょう。

取得企業は、被取得企業の財政状態計算書を基礎として、取得日において識別可能な取得資産および引受負債を認識します。
このとき、被取得企業では認識されていなかった項目が、取得企業で新たに認識される場合もあります。
例えばブランドや顧客関係といった無形資産は、被取得企業においては自己創設無形資産にあたるため、認識が禁止されますが、取得企業においては識別可能な資産として認識されるケースが考えられます。
識別可能な取得資産および引受負債は、取得日の公正価値で測定します。
そのため、被取得企業における帳簿価額と公正価値とが異なる場合もあります。
例えば、被取得企業において帳簿価額100であった土地の公正価値が200である場合、取得企業は公正価値200により、この土地を測定します。
識別可能な資産と負債の差額を「識別可能純資産」といいます。

非支配持分

次に、取得企業以外の投資者が存在する場合についてみてみましょう。
子会社に対する持分のうち、親会社に直接または間接に帰属しないものを非支配持分といいます。
例えば、取得企業が被取得企業の議決権の70%を取得して子会社とし、他の投資者が残りの30%を保有しているとします。
この場合、親会社は子会社を支配しているものの、子会社に対する持分のすべてを保有しているわけではありません。
このように、親会社が保有していない部分は非支配持分として認識します。

非支配持分の測定方法の選択

非支配持分の測定には2つの方法があり、企業結合ごとにいずれかを選択することができます。
購入のれん方式では、識別可能純資産に非支配持分比率を乗じて非支配持分を測定します。
全部のれん方式では、取得日現在の公正価値で非支配持分を測定します。

非支配持分の測定とのれんの認識

それでは具体例でみてみましょう。

P社がA社株式の70%を現金900で取得し、取得日におけるA社の識別可能純資産の公正価値は1,000であるとします。
この場合、非支配持分はいくらになるでしょうか。
購入のれん方式では、識別可能純資産1,000に非支配持分比率の30%を乗じた300を、非支配持分とします。
全体の貸借差額がのれんとなります。これを一般に購入のれんといいます。
他方、全部のれん方式では、非支配持分を取得日現在の公正価値で測定します。
例えば、非支配持分の公正価値が400である場合、貸借差額であるのれんは300と計算されます。
購入のれんは、対価900と親会社持分700の差額200から構成されています。
他方、全部のれんは、親会社持分見合いののれん200と、非支配持分見合いののれん100から構成されています。

のれんと割安購入益

のれんは、取得日時点で資産に認識します。
日本基準では、20年以内の期間にわたりのれんを償却しますが、IFRSではのれんは償却せず、少なくとも年1回減損テストを実施します。
減損テストについては、IFRS基礎講座「減損」のモジュールで解説しています。
他方、移転対価と非支配持分の合計額が識別可能純資産を下回る場合には、取得法の一連の手続の見直しを行います。
取得法の一連の手続きの見直しにあたっては、取得した、または引き受けた項目の識別や、その公正価値の算定にあたってすべての入手可能な情報が適切に検討されたかを確認し、それでもなお利得が生じると判断される場合に、取得日において割安購入益として純損益に認識します。
一般的に、公正価値より低い価格で事業を取得することはないため、割安購入益が生じるケースは極めて稀であると考えられます。

段階取得とは?

企業が他の企業の株式を複数回にわたって購入し、ある時点で支配を獲得するようなケースがあります。
このように段階的に持分を取得して支配を獲得する取引を、段階取得といいます。

段階取得の会計処理

段階取得では、支配獲得の前から保有していた既存の投資を、取得日の公正価値で再測定します。

これは、支配の獲得が、投資の性質や投資を取り巻く経済的環境の重大な変更に該当すると考えられるためです。
公正価値測定によって生じた利得または損失と、支配獲得前に認識していたその他の包括利益は、既存の投資の分類、すなわち金融商品か、持分法投資かに応じて、それらの投資の売却時と同様の会計処理を行います。

測定期間

企業結合が生じた期間の末日までに、企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、取得企業は、会計処理が完了していない項目の暫定的な金額を、財務諸表で報告します。

企業結合が生じた期間の末日に行った暫定処理について、測定期間中に、取得日時点で存在していた事実や状況に関する新しい情報を入手した場合で、それを知っていたならば取得日時点での資産または負債の認識および測定に影響したであろう場合には、取得日時点で認識した暫定的な金額を遡及修正します。
測定期間は、取得企業が取得日現在の関連する項目を識別し、測定するのに必要な情報を入手するための、合理的な時間を与えるために設けられています。
測定期間は、取得日から最大1年以内とされます。

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