日本基準オンライン基礎講座 固定資産の減損 | KPMG | JP

日本基準オンライン基礎講座 固定資産の減損

日本基準オンライン基礎講座 固定資産の減損

「固定資産の減損」の会計処理について音声解説付きスライドにより分かりやすく解説します。

関連するコンテンツ

チャプター別動画

解説文付きスライド

固定資産の減損とは?

固定資産の減損とは、金融商品に適用されているような時価評価とは異なり、収益性の低下を反映するため、取得原価基準のもとで行われる、帳簿価額の臨時的な減額をいいます。

収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合は、固定資産の帳簿価額と回収可能価額とを比較し、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額します。

減損会計の3ステップ

減損会計においては、はじめに、減損が生じている可能性を示す事象はあるか、すなわち、減損の兆候の有無を検討します。減損の兆候がある場合は、次のステップに進みます。

次に、減損の存在は相当程度確実か、すなわち、減損損失を認識するかどうかの判定を行います。帳簿価額が割引前の将来キャッシュ・フローの総額を上回る場合は、減損の存在が相当程度確実であると判定され、次のステップに進みます。

最後に、減損損失の金額を測定します。帳簿価額と回収可能価額を比較し、帳簿価額が回収可能価額を上回る場合、帳簿価額と回収可能価額の差額が減損損失となります。

このように、減損会計は3つのステップにより検討を行います。

対象資産

減損会計は固定資産に分類される資産に適用されます。

具体的には、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産が対象となります。

減損の単位1

減損会計の対象となる資産を、減損会計を検討する単位ごとに識別します。これを、資産のグルーピングといいます。

資産のグルーピングは、他の資産または資産グループから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行います。

この最小の単位は、個別の資産である場合もあれば、複数の資産のグループである場合もあります。

減損の単位2

資産のグルーピングには判断が必要です。

実務的には、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位を考慮して決定します。

例えば、店舗や工場などの、資産と対応して継続的に収支の把握がなされている単位を識別し、グルーピングの単位を決定する基礎とすることが考えられます。

資産のグルーピングは、事実関係に変化がない限り継続します。

減損の単位3

資産グループに属する重要な固定資産について、将来の使用が見込まれなくなった場合には、重要な遊休資産として、単独の資産または資産グループとして扱います。

減損の兆候

識別した減損の単位について、減損の兆候が存在するかを検討します。

減損の兆候とは、減損が生じている可能性を示す事象をいいます。例えば、

  • 営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナス
  • 使用範囲または方法について、回収可能価額を著しく低下させる変化
  • 事業の経営環境の著しい悪化
  • 資産または資産グループの市場価格の著しい下落

といった事象が存在する資産または資産グループについては、減損の兆候があると判断されるため、減損の認識の判定へ進みます。

認識の判定

減損の兆候があると判断された資産または資産グループについては、その資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の判定を行います。

例えば、帳簿価額50である資産が、割引前のベースで、将来、35のキャッシュ・フローを生み出すと見積もったとします。

このように割引前将来キャッシュ・フローの総額が、帳簿価額を下回った場合には、減損が生じていることが相当程度確実であると判断されます。

この場合、減損損失を認識すべきであると判定し、減損損失の測定へ進みます。

将来キャッシュ・フローの見積り

将来キャッシュ・フローの見積りは、企業に固有の事情を反映した、合理的で説明可能な仮定および予測に基づく必要があります。

将来キャッシュ・フローの見積りにおいては、資産または資産グループの現在の使用状況および合理的な使用計画等を考慮します。

現在の価値を維持するための合理的な設備投資に関連する将来キャッシュ・フローは見積りに含めますが、計画されていない将来の設備増強や事業再編の結果として生ずる将来キャッシュ・フローは見積りに含めません。

将来キャッシュ・フローの見積期間

将来キャッシュ・フローの見積期間は、資産または資産グループの中の主要な資産の経済的残存使用年数か、20年の、いずれか短い方とされています。

主要な資産とは、資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な資産です。

経済的残存使用年数が20年を超えるために、見積期間を20年とする場合には、20年目までの将来キャッシュ・フローに、20年経過時点の回収可能価額を加算します。この合計額が将来キャッシュ・フローとなります。

減損損失の測定

回収可能価額

減損損失は、帳簿価額と回収可能価額との差額として算定されます。
回収可能価額とは、資産または資産グループの正味売却価額と使用価値の、いずれか高い方の金額をいいます。

正味売却価額

正味売却価額とは、資産または資産グループの時価から、処分費用見込額を控除して算定される金額をいいます。

使用価値

使用価値とは、資産または資産グループの継続的使用と、使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値をいいます。

すなわち、使用価値は、将来キャッシュ・フローを見積り、そのキャッシュ・フローを税引前の割引率により現在価値に割り引くことにより算定します。

使用価値の算定に使用する将来キャッシュ・フローは、基本的に、減損損失の認識の判定時に使用したものと同様ですが、将来キャッシュ・フローの見積期間は、資産または資産グループの中の主要な資産の経済的残存使用年数とされます。

将来キャッシュ・フローの見積りが実績と乖離するリスクについては、キャッシュ・フローの見積りに反映する方法と割引率に反映する方法とがあります。

割引率

将来キャッシュ・フローの乖離リスクを割引率に反映する場合、リスク調整を行った割引率として、例えば、

  • その企業における当該資産または資産グループに固有のリスクを反映した収益率
  • その企業に要求される資本コスト
  • その資産または資産グループに類似した資産または資産グループに固有のリスクを反映した市場平均と考えられる合理的な収益率
  • その資産または資産グループのみを裏付ける、いわゆるノンリコースとして大部分の資金調達を行ったときに適用されると合理的に見積られる利率

などが考えられます。

減損損失の会計処理

資産グループについて測定した減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分などの合理的な方法により、資産グループを構成する各資産に配分します。

減損損失は、原則として特別損失として表示します。

減損後は、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行います。減損損失の事後的な戻入れは行いません。

共用資産 - 兆候

固定資産の中には、例えば、本社建物のように、それ自体はキャッシュ・フローを生み出さず、複数の資産または資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産があります。このような資産を、共用資産といいます。

共用資産は、独立したキャッシュ・フローを生成しないため、関連する資産または資産グループに共用資産を加えた、より大きな単位で減損の検討を行います。

共用資産を含むより大きな単位または共用資産自体に減損の兆候がある場合には、共用資産について減損の認識の判定へ進みます。

共用資産 - 認識

減損損失を認識するかどうかの判定は、共用資産が関連する資産または資産グループに減損の兆候がある場合には、まずその資産または資産グループごとに判定を行い、その後、共用資産を加えたより大きな単位で行います。

共用資産を含むより大きな単位で認識の判定を行う場合には、各資産グループの減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた金額と、より大きな単位から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較し、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額の合計額を下回る場合には、減損損失を認識すべきと判定し、測定を行います。

共用資産 - 測定

共用資産を含むより大きな単位について減損損失を認識すべきと判定された場合は、より大きな単位の帳簿価額と回収可能価額とを比較し、減損損失の測定を行います。

共用資産を加えたことにより算定された、より大きな単位での減損損失の金額が、各資産グループにおいて算定された減損損失の金額よりも増加する場合、その減損損失の増加額は、原則として共用資産に配分します。

共用資産 - 共用資産を配分できる場合

なお、共用資産の帳簿価額を、関連する資産または資産グループに合理的な基準で配分できる場合には、各資産または資産グループに共用資産を配分した上で認識の判定および測定を行うこともできます。

のれん - 分割

複数の事業に関連して生じたのれんは、その帳簿価額を、取得対価が概ね独立して決定され、かつ、内部管理上独立した業績報告が行われる事業の単位に分割します。

分割されたのれんは、共用資産と同様に、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループを加えたより大きな単位で、減損の認識の判定および測定を行います。

のれん - 兆候

のれんが帰属する事業に関連する資産グループに減損の兆候があるかどうかを検討し、減損の兆候がある場合には、まず、資産グループごとに、すなわち、のれんを含まない資産グループについて認識の判定を行います。

次に、のれんを含む、より大きな単位に減損の兆候があるかどうかを検討し、減損の兆候がある場合には、より大きな単位で減損損失を認識するかどうかの判定を行います。

のれん - 認識(より大きな単位で行う場合)

のれんを含むより大きな単位で認識の判定を行う場合には、各資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額と、より大きな単位から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較し、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額の合計額を下回る場合には、減損損失を認識すべきと判定し、測定を行います。

のれん - 測定(より大きな単位で行う場合)

のれんを含むより大きな単位について減損損失を認識すべきと判定された場合は、より大きな単位の帳簿価額と回収可能価額を比較し、減損損失の測定を行います。

のれんを加えたことにより算定された、より大きな単位での減損損失の金額が、各資産グループにおいて算定された減損損失の金額よりも増加する場合、その減損損失の増加額は、原則としてのれんに配分します。

のれん - のれんを配分できる場合

のれんの帳簿価額を、事業に関連する資産グループに合理的な基準で配分することができる場合には、のれんを各資産グループに配分した上で認識の判定および測定を行うこともできます。

基準別コンテンツ

日本基準 基礎講座

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信