のれんの減損処理に関する開示-事例分析/6月総会企業の決算留意事項への対応

のれんの減損処理に関する開示 - 事例分析/6月総会企業の決算留意事項への対応

平成25年3月期決算の企業に係る有価証券報告書の連結損益計算書関係注記において、減損損失を認識した資産にのれんが含まれている事例について紹介する。主にのれんを減損処理するに至った経緯についてどのような開示がなされているか検討する。のれんの減損処理に至った経緯として、買収等により発生したのれんについて、買収時に検討した事業計画において当初想定していた収益を見込めなくなった旨のみを開示している事例が多いものと思われる。

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I はじめに

買収等により発生したのれんについて、経営環境の変化等により、将来事業計画を見直した結果、当初想定していた収益を見込めなくなり,将来キャッシュ・フローによる回収可能性が認められず、のれんを減損せざるをえない場合がある。本稿では、平成25年3月期決算企業の有価証券報告書の連結損益計算書関係注記において、減損損失を認識した資産にのれんが含まれている事例について紹介する。なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であることを申し添える。

II のれんの減損処理に係る規定

1 のれんの減損処理に係る規定

のれんの取扱いについては、「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という。)に次のように規定されている。

■固定資産の減損に係る会計基準 第二8.のれんの取扱い

  • のれんを認識した取引において取得された事業の単位が複数である場合には、のれんの帳簿価額を合理的な基準に基づき分割する。
  • 分割されたそれぞれののれんに減損の兆候がある場合に、減損損失を認識するかどうかの判定は、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行う。
  • のれんを含む、より大きな単位について減損損失を認識するかどうかを判定するに際しては、のれんを含まない各資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額と、割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較する。この場合に、のれんを加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、のれんに配分する。
  • のれんの帳簿価額を当該のれんが帰属する事業に関連する資産グループに合理的な基準で配分することができる場合には、のれんの帳簿価額を各資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定することができる。この場合に、各資産グループについて認識された減損損失は、のれんに優先的に配分し、残額は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの各構成資産に配分する。

のれんの減損の兆候については、減損会計基準の4つの減損の兆候(1.営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナス 2.使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化 3.経営環境の著しい悪化 4.市場価格の著しく下落)以外に、企業結合に関する会計基準第109項において、次のような記載がある。

「例えば、株式の交換による企業結合のプロセスにおいて、買収対価(発行株式金額)の過大評価や過払いが生じている可能性がある場合に、のれん等が過大に計上される状況が考えられる。このように取得原価のうち、のれんやのれん以外の無形資産に配分された金額が相対的に多額になるときには、企業結合年度においても「固定資産の減損に係る会計基準」の適用上、減損の兆候が存在すると判定される場合もある。被取得企業の時価総額を超えて多額のプレミアムが支払われた場合や、取得時に明らかに識別可能なオークション又は入札プロセスが存在していた場合も同様に取り扱われることがある。」

したがって、このようにのれんが過大計上されていると考えられる場合には減損の兆候が存在していないかどうか留意が必要である。

また、在外子会社に対するのれんについては、「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」に留意する必要がある。この取扱いの中において、在外子会社の財務諸表が国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠して作成されている場合には、当面の間、それらを連結決算手続上利用することができるとされている。

この当面の取扱いによる場合、のれんの償却に関しては、「在外子会社におけるのれんは、連結決算手続上、その計上後20年以内の効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却し、当該金額を当期の費用とするよう修正する。ただし、減損処理が行われたことにより、減損処理後の帳簿価額が規則的な償却を行った場合における金額を下回っている場合には、連結決算手続上、修正は不要であるが、それ以降、減損処理後の帳簿価額に基づき規則的な償却を行い、修正する必要があることに留意する。」とされている。したがって、当面の取扱いによっている場合で、在外子会社におけるのれんの減損処理が行われたときは、減価償却費の調整を考慮する必要がある。

2 のれんの減損処理の開示に係る規定

減損会計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(以下、「減損会計適用指針」という。)において、開示については、次のように規定されている。

固定資産の減損に係る会計基準 第四

2. 減損損失は、原則として、特別損失とする。
3. 重要な減損損失を認識した場合には、減損損失を認識した資産、減損損失の認識に至った経緯、減損損失の金額、資産のグルーピングの方法、回収可能価額の算定方法等の事項について注記する。

固定資産の減損に係る会計基準の適用指針

58. 重要な減損損失を認識した場合には、損益計算書(特別損失)に係る注記事項として、以下の項目を注記する。

(1)減損損失を認識した資産又は資産グループについては、その用途、種類、場所などの概要
(2)減損損失の認識に至った経緯
(3)減損損失の金額については、特別損失に計上した金額と主な固定資産の種類ごとの減損損失の内訳
(4)資産グループについて減損損失を認識した場合には、当該資産グループの概要と資産をグルーピングした方法
(5)回収可能価額が正味売却価額の場合には、その旨及び時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率

なお、割引率については、少なくとも割引率のみ開示すれば足り、その算定方法までは求められない(減損会計適用指針第141項)とされている。

また、財務諸表等規則では、次のように規定されている。

(減損損失に関する注記)

■財規第95条の3の2

減損損失を認識した資産又は資産グループ(複数の資産が一体となつてキャッシュ・フローを生み出す場合における当該資産の集まりをいう。以下同じ。)がある場合には、当該資産又は資産グループごとに、次の各号に掲げる事項を注記しなければならない。ただし、重要性が乏しい場合には、注記を省略することができる。

一 当該資産又は資産グループについて、次に掲げる事項の概要

イ 用途
ロ 種類
ハ 場所
ニ その他当該資産又は資産グループの内容を理解するために必要と認められる事項がある場合には、その内容

二 減損損失を認識するに至つた経緯

三 減損損失の金額及び主な固定資産の種類ごとの当該金額の内訳

四 資産グループがある場合には、当該資産グループに係る資産をグループ化した方法

五 回収可能価額が正味売却価額の場合にはその旨及び時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率

■財規ガイドライン 95の3の2

規則第95条の3の2の注記に関しては、次の点に留意する。

  1. 規則第95条の3の2にいう資産又は資産グループ、回収可能価額等の用語は、「固定資産の減損に係る会計基準」にいう資産又は資産グループ、回収可能価額等をいうものとする。
  2. 規則第95条の3の2に規定する注記事項は、多数の資産グループにおいて重要な減損損失が発生している場合には、資産の用途や場所等に基づいて、まとめて記載することができるものとする。

したがって、のれんの減損損失を認識した場合においても、上記取扱いに基づき開示することになる。

その他、セグメント情報等の開示に関する会計基準第33項において、「損益計算書に固定資産の減損損失を計上している場合には、当該企業が財務諸表を作成するために採用した会計処理に基づく数値によって、その報告セグメント別の内訳を開示しなければならない。なお、報告セグメントに配分されていない減損損失がある場合には、その額及びその内容を記載しなければならない。ただし、セグメント情報の中で同様の情報が開示されている場合には、当該情報の開示を要しない。」とされている。

なお、持分法を適用する被投資会社に係るのれんの当期償却額及び減損処理額並びに負ののれんについても、持分法による投資損益に含めて表示することとされている(持分法に関する会計基準第27項)。連結財務諸表上、持分法による投資損益は、営業外収益又は営業外費用の区分に一括して表示する(同第16項)こととされているため、のれんの減損処理額も当該区分に表示される。

III のれんの減損に係る開示事例

1 事例の概要

減損損失を認識した資産又は資産グループについての注記として、減損対象となった資産にのれんが含まれて注記されているケースだけでなく、のれんのみについて減損損失が認識されている事例もある。

「減損損失を認識した資産又は資産グループ」についての用途・種類・場所等についての注記は、表形式の事例が多い。「種類」の欄が「のれん」とされているものにつき、「用途」の欄は、当該のれんが属する事業を記載しているものや「-」のものもある。代わりにのれんの減損損失を認識した会社名を開示している事例もある。

「減損損失を認識するに至った経緯」の注記については、買収時に想定していた収益が見込めなくなった旨を記載している事例が多い。

【事例の例示】

  • 当初想定していた超過収益力が見込めなくなった
  • 超過収益力を期待できなくなった
  • 収益性の著しい低下
  • 買収時に検討した事業計画において、当初想定していた収益が見込めなくなった
  • 株式取得時に想定していた収益が見込めなくなった
  • 株式取得の際に検討した事業計画において想定していた利益計画の見直しを行った
  • 事業譲受時に検討した事業計画において、当初想定していた収益が見込めなくなった
  • 事業を譲り受けた際に超過収益力を前提にのれんを計上していたが、取得時に検討した事業計画において、当初想定していた収益の達成に遅れが生じており、計画値の達成には時間を要すると判断した
  • サービスの開始時に検討した事業計画において当初想定していた収益の達成が遅れており、サービス終了の意思決定を行った
  • 関連する事業の廃止に伴い、投資額の回収を見込めなくなった
  • 市況及び事業環境の悪化を受け、将来事業計画を見直した結果、当初想定していた収益性が見込まれない
  • 現在の経営環境下では業績向上が見込めない
  • 欧州での景気低迷に伴う市況悪化

「回収可能価額が正味売却価額の場合にはその旨及び時価の算定方法・回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率」の注記については、のれんの場合、使用価値を零として未償却残高全額を減損損失としている事例も多いものと思われる。

【事例の例示】

  • 今後収益の獲得が見込めないと認められた未償却残高を全額減損
  • のれん全額を減損損失として計上
  • 未償却残高を全額減損
  • 使用価値を零として算定している。
  • 使用価値は将来キャッシュ・フローがマイナスのため零として評価
  • 使用価値は将来キャッシュ・フローがマイナスであるため備忘価額により評価
  • 第三者機関による評価結果に基づく使用価値
  • 再評価した企業価値により測定
  • 再評価した企業価値に基づき資産性を分析した金額

以下、平成25年3月期決算企業に係る有価証券報告書の減損損失の注記のうち、一部抜粋した事例を示す。

2 一般的な事例

「インテージ」(情報・通信業)

当連結会計年度において、当社グループは、以下の資産グループについて減損損失を計上しております。

(1)減損損失を認識した資産

用途 種類 場所
その他 のれん ○○市

(2)減損損失の認識に至った経緯

当社の連結子会社である○○○について、取得時に検討した事業計画において当初想定していた収益が見込めなくなったことから減損損失を認識しております。

(3)減損損失の金額

のれん ***,***千円

(4)資産のグル―ピング方法

当社グループは、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を考慮し資産のグルーピングを行っております。

(5)回収可能価額の算定方法

回収可能価額は事業計画を基に使用価値により算定しております。

 

「ブロードメディア」(サービス業)

当社グループは以下のとおり減損損失を計上いたしました。

(1)減損損失を認識した資産グループの概要

用途 種類 会社名 金額(千円)
○○サービス のれん ○○○(株) **,***

(2)減損損失の認識に至った経緯

当連結会計年度において、当初想定していた期間における想定していた収益が見込めなくなったことにより、減損損失を認識しております。

(3)資産のグル―ピング方法

当社グループは、減損会計の適用に当たって原則として、報告セグメントを基礎とした概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最少の単位によってグルーピングを行っております。

(4)回収可能価額の算定方法

回収可能価額は、使用価値により測定しております。将来キャッシュ・フローが見込めない場合には、回収可能価額を零として評価しております。

 

「大京」(不動産業)

当社グループは、以下の資産について減損損失を計上いたしました。

主な用途 種類 場所
のれん 東京都○○○区

当社グループは、のれんは帰属する事業に関連する資産として、その事業が属する事業区分における資産グループとともにグルーピングを行っております。当該のれんについては、株式取得時に想定していた収益が見込めなくなったことから、未償却残高***百万円を減損損失として特別損失に計上しております。

 

「ヤマトホールディングス」(陸運業)

用途 種類 地域 減損損失
支店及びセンター店他 建物、土地、他 ×××株式会社
・・・支店(○○県○○市)
*,***

※単位:百万円

当社企業グループは管理会計上の区分、投資の意思決定を行う際の単位を基準として、○○○株式会社については主管支店及び管下店、×××株式会社については統括支店を1つの単位とし、当社及びその他の連結子会社については事業部単位を基本としてグルーピングを行いました。

その結果、当社企業グループの×××株式会社・・・統括支店他○件の資産グループについて、営業活動から生ずる損益の継続的なマイナス、または市場価格の著しい下落が認められたため、当該資産グループに係る資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額、***百万円を減損損失として特別損失に計上しました。

その主な内訳は、建物***百万円、土地***百万円、のれん***百万円であります。

なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額により測定しており、主として不動産鑑定評価基準または固定資産税評価額もしくは公示価格に基づいて評価しております。

 

「ファンケル」(化学)

当企業集団は以下の資産グループについて減損損失を計上しております。

用途 種類 金額 その他
店舗設備    
○○関連事業 のれん *** ○○○(株)

※単位:百万円

減損損失の認識に至った経緯

  1. 店舗設備については、略
  2. 株式会社××(・年・月・日付で連結子会社である○○○株式会社により吸収合併)の株式取得により発生したのれんについて、当初想定していた収益の獲得が見込めなくなったため、***百万円を減損損失として特別損失に計上しております。

グル―ピングの方法

当企業集団は、主として事業の種類別に資産のグルーピングを行い、遊休資産については施設単位によってグルーピングを行っております。

回収可能価額の算定方法

  1. 店舗設備の回収可能価額については、正味売却価額により測定しており、転用可能な資産以外については売却可能性が見込めないため零として評価しております。
  2. のれんの回収可能価額については、将来の事業計画に基づいて算定しております。

 

「森精機製作所」(機械)

会社名 場所 用途 種類 金額
株式会社○○○ のれん ***百万円

(経緯)

当連結会計年度に国内連結子会社である株式会社○○○を完全子会社とし、平成25年4月1日より社名を○○○・・・株式会社へ変更いたします。新会社の主要な事業内容を当社の研究開発活動に変更することを契機にとして、のれんを全額減損損失として認識しました。

(グルーピングの方法)

当社は事業部門別を基本とし、製造部門においては工場を単位としてグルーピングをしております。

(回収可能価額の算定方法等)

上記のれんの回収可能価額は使用価値を零として算定しております。

 

3 在外子会社に対するのれんの減損の事例

「ベネッセホールディングス」(サービス業)

当連結会計年度において、当社グループは資産について○○○百万円の減損損失を計上しております。内訳は次のとおりであります。

用途 種類 金額(百万円) 場所 内訳(百万円)
       
連結子会社・・Corporationのオーストラリアにおける・・事業 のれん ***
       

(略)

連結子会社・・Corporationのオーストラリアにおける・・事業に係るのれんについては、米国会計基準に基づき、減損テストを実施した結果、当初想定されていた収益が見込まれなくなったため、帳簿価額をすべて減額し、減損損失として計上しております。

(略)

 

「日本バイリーン」(繊維製品)

当社グループは、以下の資産グループについて減損損失を計上しております。

用途 種類 場所または会社 金額(百万円)
     
その他 のれん ・・リミテッドパートナーシップ ***
合計 ***

(略)

また、連結子会社○○における、・・リミテッドパートナーシップの事業譲受時に発生したのれんに関して、当初想定していた収益の獲得が見込めなくなったため、減損損失を計上しております。

なお、米国会計基準に基づき当該子会社の財務諸表に減損損失が計上されましたが、連結財務諸表上は、日本の会計基準に基づき5年間で定額償却を行っているため、連結子会社で認識された減損損失のうち、連結上ですでに償却した分を差し引いた**百万円を減損損失として特別損失に計上しております。

 

「塩野義製薬」(医薬品)

※○ 減損損失

場所 種類 金額(百万円)
アメリカ のれん **,***
アメリカ 販売権等 **,***

(略)

○○に関する英国○○○Ltd.との契約締結を機に、米国事業の経営リソースの再配分を検討した結果、米国子会社○○INC.が取り扱っている品目に係る販売権等について、減損の兆候が生じました。また、のれんについても、医薬品事業全体から米国事業へのグルーピング変更に伴い、減損の兆候が生じました。この結果、減損損失を認識すべき資産グループについて帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失に計上しております。

 

4 報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報の事例

「キッコーマン」(食料品)

*○ 当社グループは以下の資産グループについて減損損失を計上しております。

用途 種類 場所 減損損失(百万円)
のれん 米国 ***
事業用資産 機械装置 タイ ***
    ***

・(略)

・のれんについては、当社の米国連結子会社が保有するのれんの帳簿価額を第三者機関による評価結果に基づく回収可能価額まで減額しており、回収可能価額は使用価値により測定し、割引率は**.*%です。

・(略)

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

  国内
食料品製造・販売
国内
その他
海外
食料品製造・販売
海外
食料品卸売
調整額 連結財務諸表
減損損失 *** *** ***

※単位:百万円

 

「資生堂」(化学)

減損損失は、国内及び海外の固定資産に係る減損損失であります。

用途 種類 場所
事業用資産 のれん、工具、器具及び備品 米国
建物及び構築物等 東京都・・区 他
・・・ ・・・・
・・・・・

当社グループは事業用資産において、事業区分をもとに、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位ごとに、遊休資産等においては、個別物件単位で資産のグルーピングを行っております。

その結果、事業用資産のうち、グローバル事業における・・・取得時に計上したのれんについて、売上が計画を下回って推移している状況を踏まえ総合的に勘案し、米国会計基準に基づき減損テストを実施した結果、回収可能価額まで減額し、日本基準に基づく既償却額を控除した額を特別損失に計上(**,***百万円)しております。なお、回収可能価額は割引率を**%として算出した使用価値により測定しております。

(略)

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

  国内化粧品事業
(百万円)
グローバル事業
(百万円)
その他
(百万円)

(百万円)
減損損失 *,*** **,*** ** **,***

(注)

  1. 「グローバル事業」の金額は、主に米国子会社ののれんに係るものであります。
  2. 減損損失のうち「国内化粧品事業」*,***百万円、「グローバル事業」***百万円、「その他」**百万円は構造改革費用に含めております。

IV のれんの一時償却

1 連結子会社に対するのれんの一時償却

連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(以下「資本連結実務指針」という。)第33項において、のれんは、減損会計基準等に従って減損処理を行うこととされている。これとは別に、資本連結実務指針には第32項の取扱いがある。

32. 子会社ごとののれんの純借方残高(連結原則に基づいて会計処理している場合には、借方残高(のれん)と貸方残高(負ののれん)との相殺後)について、親会社の個別財務諸表上、子会社株式の簿価を減損処理(会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」第91項、第92項及び第283-2項から第285項に従う処理をいう。)したことにより、減損処理後の簿価が連結上の子会社の資本の親会社持分額とのれん未償却残高(借方)との合計額を下回った場合には、株式取得時に見込まれた超過収益力等の減少を反映するために、子会社株式の減損処理後の簿価と、連結上の子会社の資本の親会社持分額とのれん未償却残高(借方)との合計額との差額のうち、のれん未償却残高(借方)に達するまでの金額についてのれん純借方残高から控除し、連結損益計算書にのれん償却額として計上しなければならない。

この取扱いは、のれんの減損処理とは異なるものであるため、のれん償却額として取り扱われている。開示としては、臨時巨額のものが多いと考えられるため、特別損失に計上されている事例が多いものと思われる。

2 事 例

「ユニバーサルソリューションシステムズ」(卸売業)

特別損失「のれん償却額」の注記

※○ 「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号 平成21年6月9日)第32項の規定に基づき、のれんを償却したものであります。

「アマダ」(機械業)

特別損失「のれん償却額」の注記

特別損失に計上されているのれん償却額は、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(日本公認会計士協会、最終改正平成23年1月12日 会計制度委員会報告第7号)第32項の規定に基づき、のれんを償却したものであります。

3 持分法適用会社に対するのれんの一時償却

持分法会計に関する実務指針第9項では、「のれんの会計処理に当たっては、資本連結実務指針の第30項から第33項及び第40項に基づいて行う。」とされている。したがって、資本連結実務指針第32項の取扱いは持分法に係るのれんについても同様に適用される。

前述のとおり、持分法を適用する被投資会社に係るのれんの減損処理額についても、持分法による投資損益に含めて表示することとされているが、資本連結実務指針第32項に準じた持分法会計に関する実務指針第9項の扱いにより、のれん相当額の一時償却を行った額も同様に扱うことになるものと考えられる。

V おわりに

企業会計基準委員会が平成25年7月11日に公表した「のれんの減損及び償却に関する質問票及び意見交換会に関するフィードバック文書」において、欧州証券市場監督機構(ESMA)による報告書「IFRSに基づく財務諸表におけるのれん及びその他の無形資産の減損に関する欧州の執行当局によるレビュー報告」(平成24年)では、「のれんの減損テストに関する主要な開示は一般的に含まれているものの、多くの場合、これらの記載は画一的なものであり、企業固有のものではなかったとされている。」とされており、のれんの減損に関する企業の開示に関して、経営者が用いた主要な前提条件、感応度分析、割引率の開示等に関する開示実務が不十分であるものとされているとの記載がある。

ここでレビューされた開示は、IAS第36号「資産の減損」に係る開示についてであるが、日本基準における開示においても、今後、有用な情報提供のために画一的ではなく企業固有の実態を表す、より積極的な開示が行われることが望まれる。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
波多野 直子

日本基準のトピック

中央経済社「企業会計 2013 Vol.65」に掲載されたものを転載しています。

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