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国境を越えた役務の提供に対する消費税

国境を越えた役務の提供に対する消費税

6月26日に行われた政府税制調査会の国際課税ディスカッション・グループの会合において、「国境を越えた役務の提供に対する消費税」に関する制度案が議論され、翌27日に政府税制調査会(総会)において報告されました。

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現行の日本の消費税法のもとでは、国境を越えて行われる役務の提供のうち、役務の提供が行われた場所が明らかでないものについては、役務の提供を行う者の事務所等の所在地に基づいて内外判定が行われています。

このため、国外事業者により行われるデジタルコンテンツの提供(電子書籍や音楽の配信等)・インターネット広告の配信等には消費税が課されない一方、国内事業者により行われるこれらの役務の提供には消費税が課されており、国内外の事業者間の競争条件に歪みが生じています。

この問題については、昨年11月に有識者の議論をとりまとめた「国境を越えた役務の提供等に対する消費税の課税の在り方について」と題する報告書が財務省により政府税制調査会に提出され、議論が行われてきました。

そして、6月26日に行われた政府税制調査会の国際課税ディスカッション・グループの会合において、「国境を越えた役務の提供に対する消費税」に関する制度案が議論され、翌27日に政府税制調査会(総会)において報告されました。

このニューズレターでは、上記の政府税制調査会における会議資料をもとに、制度案の概要をお知らせいたします。この制度案に基づく改正は2015年度税制改正に盛り込まれることが見込まれていますが、施行の時期及び制度の詳細については、今後さらなる議論が重ねられる予定です。

 

英語コンテンツ
Consumption Tax Treatment of Cross-Border Supplies of Services

I. 内外判定基準の見直し

1. 仕向地主義への変更

国境を越えた役務の提供に関する内外判定基準を、以下のように変更することが提案されています。これにより、EU諸国のように、日本に所在する事業者や消費者が国外事業者から役務の提供を受けた場合には、その取引は国内取引として消費税が課されることとなります。

 

役務の提供が行われた場所が明らかである場合

現行法 制度案
役務の提供が行われた場所 改正なし

役務の提供が行われた場所が明らかでない場合

  現行法 制度案
国際運輸・国際通信・国際郵便 発地又は着地 改正なし
保険 保険業を営む者の保険契約の締結に係る事務所等の所在地
プラント建設等に係る情報の提供等 プラント建設等に係る資材の大部分が調達される場所
上記以外
(国内外にわたる役務の提供等)
役務の提供を行う者の事務所等の所在地 役務の提供を受ける者の住所・事務所等の所在地
(仕向地主義)

 

なお、デジタルコンテンツの提供(電子書籍や音楽の配信等)については、「役務の提供」と「資産の譲渡・貸付け」のどちらに当たるかが不明確であるとの指摘があることから、「役務の提供」として消費税法令が適用されることが明らかにされる予定です。

2. 現行の課税関係を継続する取引の明示

実質的な役務の提供が国外で完結している取引については、内外判定基準の原則(役務の提供が行われた場所で判断)により国外取引(不課税)となりますが、たとえば、以下のような役務の提供については、国内取引と解されることへの懸念があることから、国外取引(不課税)となることが法令等によって明確化される予定です。

  • 国外で行われる当該国外に関する情報の収集、整理又は分析等(その結果の提供を含む。)
  • 国外で行われる当該国外に所在する資産の取得、管理又は譲渡等に係る役務の提供(その結果の報告を含む。)

ただし、一見、国外で完結しているような役務の提供であっても、国内において行われる役務の提供と一体で行われるものについては、国内外にわたる役務の提供等として上記1.において変更される内外判定基準により判定を行うことになります。

(例)国外の役務の提供と国内での役務の提供が一体化しているケース

  • 国内事業者の依頼に基づいて、国外でシステム開発を行うとともに、その開発したシステムを国内の事業所等に導入・稼働させる役務提供を一体で請け負う場合
  • 国内事業者の依頼に基づいて、国外で研究開発を行うとともに、その研究開発の成果を国内における製品製造等に反映させるための役務提供を一体で請け負う場合

II. 「事業者向け取引」及び「消費者向け取引」の定義

EU諸国では、取引相手が事業者か消費者かを判別するために課税事業者番号を活用していますが、日本では課税事業者番号制度が採用されていないことから、国外事業者が行う役務の提供のうち、内外判定基準の見直しにより新たに国内取引となる役務の提供については、役務の性質や取引条件等により、「事業者向け取引」及び「消費者向け取引」を以下のように定義することが提案されています。


事業者向け取引(B2B取引)
電気通信回線(インターネット・電話等)を通じてクロスボーダーで行う役務の提供など国内外にわたる役務の提供のうち、提供される役務の性質や取引条件等から、役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかなもの


消費者向け取引(B2C取引)
電気通信回線(インターネット・電話等)を通じてクロスボーダーで行う役務の提供など国内外にわたる役務の提供のうち、「事業者向け取引」に該当しないもの(役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかでないもの

III. 「事業者向け取引」(B2B取引)に係る課税方式(リバースチャージ方式)

国外事業者が行う「事業者向け取引」については、国内事業者に申告納税義務を課す方式(リバースチャージ方式)の採用が提案されています。

また、リバースチャージ方式に関連して、以下の事項も提案されています。

国外事業者の義務

  • リバースチャージ方式の対象となる役務の提供を行う国外事業者に対しては、取引の相手方にその旨を通知する義務を課する。通知のタイミングについては、今後検討する。
  • 通知の有無は、適用される課税方式に影響させないものとする。

国内事業者の事務負担への配慮

  • 課税売上割合が一定以上(例えば、95%以上)の事業者等においては、事業者の事務負担に配慮する観点から、当分の間の措置として、「リバースチャージ税額」と「リバースチャージ税額に係る仕入控除税額」を同額とみなし、申告対象から除外する。

IV. 「消費者向け取引」(B2C取引)に係る課税方式(国外事業者申告納税方式)

国外事業者が行う「消費者向け取引」について、国外事業者に申告納税義務を課す方式の採用が提案されています。

(* 国内事業者が含まれる場合があります。)

なお、制度案では、この課税方式に関して以下の論点も言及されています。

国外事業者の申告納税義務

  • 申告納税義務については、情報交換協定や徴収共助条約に基づく税務執行等を通じて国外事業者に対して適正な履行を求める。
  • 現行の事業者免税点制度は、国外事業者に対しても等しく適用されることから、今般の見直しに伴い新たに納税義務者となる国外事業者は、(原則として)国内における課税対象取引額が1千万円を超える事業者に限られる。

国内事業者が受ける消費者向け役務の提供の取扱い

  • 国外事業者に適正な申告納税の履行を促すことには限界があるため、国内事業者が国外事業者から受ける消費者向けの役務の提供については、仕入税額控除を認めないこととする。

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