金融商品取引法等の一部を改正する法律の公布 | KPMG | JP

金融商品取引法等の一部を改正する法律の公布

金融商品取引法等の一部を改正する法律の公布

会計・監査ニュースフラッシュ - 平成26年5月23日、通常国会(第186回)において金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)(以下「改正法」という。)が成立し、同年5月30日に公布された。

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改正法は原則として、公布の日(平成26年5月30日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される(改正法附則第1条)。改正法及びこれに関連する金融庁の説明資料等については、国会提出法案等を参照のこと。
本ニュースフラッシュでは、改正法の主な内容について紹介する。なお、金融商品取引法(以下「金商法」という。)の条文番号は、特に断らない限り、改正後の金商法の規定によるものである。

ポイント

  • 改正法は、新規上場時や上場後の資金調達の制度整備等を行うことで、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給の促進を図るものである。
  • 具体的には、いわゆる「投資型クラウドファンディング」を取り扱う金融商品取引業者に係る規制の整備、上場企業に係る開示規制の見直し、ファンドの販売を行う金融商品取引業者に係る規制の強化等の措置を講ずるものである。

改正までの経緯と背景

改正法は、平成25年12月25日に公表された金融審議会の新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ(座長 神田秀樹東京大学大学院法学政治学研究科教授)による報告を受けて立法化され、平成26年3月14日に国会提出された。本報告では、我が国における起業や新規ビジネスの創出を巡る日米格差の要因の1つとして、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給不足があるとの問題意識のもと、当該リスクマネーの供給を促進するための取組みをこれまで以上に幅広く展開していくこと、また、その際には、新規・成長企業の出口戦略を多様化する等の観点から、新規上場時や上場後の資金調達の制度整備等にも引き続き努めていくことが必要であるとしていた。

投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングの利用促進

投資型クラウドファンディングとは、新規・成長企業等と投資家をインターネット上で結び付け、多数の者から少額ずつ資金を集める仕組みである※1。改正前金商法においては、有価証券を勧誘するためには、「金融商品取引業者」としての登録が必要とされ、非上場株式の勧誘は、日本証券業協会の自主規制により原則として禁止されていた。改正法では、少額の投資型クラウドファンディングを取り扱う金融商品取引業者の参入要件を緩和するとともに(金商法第29条の4の2)、投資型クラウドファンディングが詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して、インターネットを通じた適切な情報提供等を義務付けることとした(金商法第29の4、第35条の3、第43条の5)。

※1 金融庁説明資料より。

上場企業に係る開示規制の見直し

大量保有報告制度における自己株式の取扱いの見直し
大量保有報告制度において、上場企業の株式の大量保有者は、「株券等保有割合」が5%超となった日から、5営業日以内に「大量保有報告書」を提出しなければならないこととされているが、改正法では、この適用対象から「自己株式」を除外することとした(金商法第27の23第4項)。当該上場企業は保有する自己株式について議決権を有しないため、通常の株式に比べて大量保有報告書を提出させる必要性が限定的と考えられるためである。

流通市場における虚偽開示書類を提出した会社の損害賠償責任の見直し
企業が虚偽の開示書類を提出した場合の責任について、流通市場におけるものについては、無過失責任から過失責任とされた(金商法第21条の2)。そもそも損害賠償責任は過失責任が原則であること、流通市場では提出会社に利得がないこと(他の株主等が負担することになること)、近年、課徴金制度の進展や内部統制報告書制度の導入等、違法行為抑止のための他の制度が充実していることから、提出会社側に無過失の挙証責任を負わせた上で、見直すこととされたものである。

(表:企業が虚偽の開示書類を提出した場合の責任)

発行市場 流通市場

無過失責任

無過失責任(改正前)→過失責任(改正後)
(ただし、提出会社側に無過失の挙証責任を負わせる)
(出典:金融庁説明資料を一部修正)

(出典:金融庁説明資料を一部修正)

併せて、損害賠償を請求できる者についても、他の主要国と同様に、改正前は有価証券の取得者とされていたところ、有価証券を処分した者を加えた。

ファンド販売業者に対する規制の見直し

ファンド販売業者(第二種金融商品取引業者)は、「ファンド規約」において分別管理が確保されていないファンドへの投資の勧誘を行うことが禁止されているが、実際には分別管理をせず、資金を流用する事案が発生していることから、ファンド販売業者がファンドに出資された金銭が目的外に流用されていることを知りながら、その募集の取扱いを行うこと等を禁止事項に追加した(金商法第40条の3の2)。

また、ファンド販売業者について、証券会社と同様に、「国内拠点」及び「国内における代表者」の設置を義務付けた(金商法第29の4)。

さらに、協会(自主規制団体)へ加入していないファンド業者について、協会規則に準ずる内容の社内規則の整備と当該社内規則を遵守するための体制整備を義務付け(金商法第29条の4)、協会への加入促進を図ることとした。

新たな非上場株式の取引制度

第一種金融商品取引業者を通じて非上場株式の売買を行う制度として、日本証券業協会が運営するグリーンシート銘柄制度があるが、近年、その利用が低迷していることから、非上場株式の取引・換金ニーズに応える場としての、新たな取引制度の構築を認めることとされた。この新たな取引制度では、第一種金融商品取引業者が銘柄毎に組成・管理する「投資グループ」のメンバーに限って、投資勧誘が可能とされる。また、グリーンシート銘柄制度とは異なり、インサイダー取引規制は適用対象外とされるほか(金商法第67条の18)、自主規制として、開示の負担を軽減することを認めることで、非上場企業の負担を大幅に軽減するものとなっている。

新規上場に伴う規制の見直し
企業が提出する内部統制報告書について、上場後3年間は監査免除が選択可能とされた(金商法第193条の2第2項)。これは、新規上場を躊躇させる要因の1つとして、内部統制報告書に係る負担が重いとの指摘がある一方、(1)新規上場企業は、上場前に、金融商品取引所から内部管理体制も含めた厳格な上場審査を受けていること、(2)新規上場企業は、既存の上場企業に比して、財務負担能力が相対的に低い場合が多いと考えられること、(3)最も厳格な内部統制報告制度で知られる米国においても、新規上場を促進する観点から、新興成長企業について、内部統制に係る監査を免除する措置が講じられたことなどの事情を踏まえたものである。

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