IAISがBCRのコンサルテーション・ペーパーへの意見に対する回答を公表 | KPMG | JP

IAISがBCRのコンサルテーション・ペーパーへの意見に対する回答を公表

IAISがBCRのコンサルテーション・ペーパーへの意見に対する回答を公表

2014年3月18日、保険監督者国際機構(IAIS)は、2013年12月16日に公表した、グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SIIs)に対する基礎的資本要件(Basic Capital Requirements、BCR)に関するコンサルテーション・ペーパー(下記Link参照)への意見に対する回答を公表しました。この回答において、BCR策定の趣旨に基づくIAISの見解を示すと共に、いくつかの意見についてはフィールドテストの結果を分析し検討することを表明しました。

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また、同日に行われた監督機関向けセッションにおいて、BCRの計算についての説明が行われました。この説明では、BCR所要資本量の算式の各項目の説明、主要カテゴリー下の区分の例示、保険負債、資産の評価手法に関するIAISの見解の説明などが行われました。

なお、2014年3月21日よりBCRのフィールドテストが開始され、このフィールドテスト後の2014年7月に第2弾のコンサルテーション・ペーパーの公表が予定されています。

BCRコンサルテーション・ペーパーへの意見に対するIAISの回答と、BCRの計算の詳細は以下のとおりです。

BCRコンサルテーション・ペーパーへの意見に対するIAISの回答

BCRの役割と目的

主だった意見 IAISの回答
BCRは継続企業の前提ではなく、清算企業の前提に基づくべきである。 HLAが継続企業の前提に基づいていること、及びBCRがHLA策定の基礎となることから、BCRは継続企業の前提に基づき較正されるべきである。
BCRはその簡易性から、最低資本要件であるべきで、資本の目標水準とすべきではない。 フィールドテストの結果を分析し検討する。
BCRをG-SIIsのみならず全てのIAIGsに適用するのか不透明であり更なる明確化が必要である。 2014年中に検討予定。

BCR策定の原則とアプローチ

主だった意見 IAISの回答
BCRはその変動が激しくあるべきではなく、また、市場に対する影響を増幅するような行動を助長すべきではない。 意見に同意する。ただし、市場に対する影響の増幅には様々な意見があるので、この問題をBCRの第2弾のコンサルテーション・ペーパーで更に詳述する必要があるのか検討する。
BCRは過度に簡易性の方向に向かっているように思われる。リスク感応度にもっと重点を置くべきである。 簡易性、比較可能性、リスク感応度、で何を目的とするかにより、これらの間には対立する要素が含まれる。
フィールドテストの結果を分析し検討する。
BCRは、他の既存の枠組みで開発されたファクターを活用すべきである。(欧州ソルベンシーII、米国RBC、カナダの規制の枠組み等) 資本要件の決定のためにファクターベース・アプローチを開発した既存の枠組みのファクターは参考にはするが、現時点で所要資本量の決定における世界的な枠組みはないことから、そのまま使用するということはない。
フィールドテストは、リソースと時間の観点からBCRのみに重点を置くべきである。 2014年のフィールドテストは、ComFrame開発にあたって、より広範囲にわたる定量的テストを想定している。ComFrame開発やICS開発の準備を延期することは適切ではないと考える。

ファクターベース・アプローチ

主だった意見 IAISの回答
  • ファクターは10個以上必要である。
  • 分散効果、再保険、ヘッジ、ALM、商品内のリスク軽減性/損失吸収性もBCRで認識すべきである。
  • 考慮されていないリスクがある。(オペレーショナル・リスク、流動性リスク、外貨リスク)
フィールドテストの結果を分析し検討する。
BCRは簡易性と比較可能性を重視しており、主要リスクに対するリスク感応度は反映させるが、主要でないリスクは除外されることもある。リスク感応度を反映したより洗練された枠組みはICSの開発で達成することを考えている。

他の資本要件との関係

主だった意見 IAISの回答
BCRは保険会社に対する既存のグループ資本要件より大きくなったり、矛盾を生じたりすべきでない。
フィールドテストで分析するが、BCRの方が既存の資本要件より大きくなる可能性はある。BCRの主要な目的は世界的な比較可能性の確保にあり、いかなる追加資本要件もこの趣旨のもとで解釈される必要がある。
BCRとHLA、ICSとの関係が不明瞭である。 BCRの役割はHLA策定の基礎となることである。BCRの継続及びICSとの関係は今後のICS開発において検討する。

区分

主だった意見 IAISの回答
事業ラインの区分をより細分化することが好ましい。 フィールドテストの結果を分析し検討する。
異常災害リスクは別途区別すべきである。 フィールドテストの結果を分析し検討する。

会計と評価アプローチ

主だった意見 IAISの回答
マーケット基準アプローチは、事業の長期性に対して適切ではない。 マーケット基準アプローチが、状況によっては必ずしも全てのステークホルダーにとって理想的と考えられる結果をもたらすわけではないことは理解している。
フィールドテストの結果を分析し検討する。
保険負債の現在推計の使用について。 保険負債の現在推計に基づくBCRのアプローチは幅広い支持を得ている。
オフバランス項目の取り扱い、非重要性基準について。 フィールドテストの結果を分析し検討する。
IAISは、割引率/イールドカーブの決定に係る原則、ガイダンスを定義すべきである。 2014年実施のフィールドテストでは、比較可能性の確保のため使用するイールドカーブを特定する。ただし、これが将来的にも使用されるとは限らない。
損害保険の技術的準備金の計算には割引率を適用すべきではない。 フィールドテストの結果を分析し検討する。
損害保険にも長期の保険負債がある。(例:アスベスト訴訟)

NTNI(非伝統的業務、非保険業務)

主だった意見 IAISの回答
NTNI業務は、NT、NIのファクターと他のファクターで二重計上されるべきではない。 NTNI業務に対して二重計上する意図はない。ただし、ファクターを組み合わせて所要資本量を計算することが適切な業務もありえる。
NI業務に適用されるセクターのルールは同一セクターにのみ適用すべきで、セクターを超えて適用すべきではない。 フィールドテストの結果を分析し検討する。

資本リソース

主だった意見 IAISの回答
BCRにおいて資本の適格性を設けるべきではない。 フィールドテストの結果を分析し検討する。
ただし、BCRを基礎として策定されるHLAでは最高品質の資本のみ認める。
資本の適格性はルール主義よりむしろ原則主義に基づくべきである。 BCRにおいて比較可能性の確保は主要な目的であり、原則主義ではこれを達成できない。
移転可能性、代替可能性に関する監督機関の裁量は比較可能性を低減させるため、極力小さくすべきである。 BCRはグループで計算されるため、移転可能性、代替可能性に関する裁量は重要な問題とはならない。ただし、比較可能性を損なわないためにも一般的な事項に関して監督機関の裁量は極力小さくすべきである。

BCRの計算(必要資本量)

下式の各項目の意味するところは次のとおりです。

  • αとγは、望ましい水準に較正するために所要資本量全体の水準を調整するスカラー(乗数)
  • β1からβ5は、各業務間の相対的なリスクを反映するリスク・ファクター
  • 伝統的生命保険の負債と伝統的損害保険の負債の基準額は、現在推計(または他の適切な基準)で測定された保険負債のリスク加重平均
  • 資産の基準額は、資産のリスク加重平均(オフバランス項目も含む必要がある)
  • ALMの基準額は、資産・負債間のミスマッチ指標
  • NTの基準額は、非伝統的保険業務の現在推計(または他の適切な基準)のリスク加重平均。NIの基準額は、非保険業務に係る賦課額で当該セクターのルールに従い計算する。(例:銀行セクターのバーゼル規制)

所要資本量の計算に使用されている主要カテゴリーの基準額は、各カテゴリーの下で更に細分化された区分をもとに算出されます(例:伝統的生命保険では、死亡保障、医療保障、貯蓄性商品、年金等)。ただし、全カテゴリーを通して区分は15個以下になるものとIAISは考えています。

BCRの計算(BCRバランスシート)

BCRの計算には、調整後バランスシートの主要項目が使用されます。

各国/地域のGAAP会計の使用がベースとなりますが、異なる国/地域間でバランスシート項目の比較可能性が十分でないこともあり、整合性を確保するためにも“調整”が必要となります。

2014年実施のフィールドテストでは、この“調整”を主要な検討課題の一つと考えています。

保険負債、資産の評価について、IAISは現時点で次のような見解を示しています。

  • 保険負債-負債の現在推計(保守的なマージンは除去)。割引率は、IAISが指定したものを使用
  • 資産-各国/地域のGAAP会計に基づくが、様々な調整を行う。(例:投資資産には公正価値を使用)

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