BEPSを契機とした日本企業への移転価格課税リスク | KPMG | JP
close
Share with your friends

BEPSを契機とした日本企業への移転価格課税リスク 無形資産取引による税源浸食を問題とする中国等新興国との間の二重課税リスク

BEPSを契機とした日本企業への移転価格課税リスク

ICT関連等のベンチャー型の多国籍企業の濫用的租税回避による税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting: BEPS)の問題は、2013年6月のG8サミットや同年9月のG20により、その解決が政治的アジェンダとなっています。

執筆者

お問合せフォーム

関連するコンテンツ

多国籍企業にとって、国際課税ルールの見直しは、グローバルなバリューチェーン構築等の国際事業戦略に大きな影響を及ぼす問題であり、特に二重課税リスクの高い移転価格については、各国の制度・執行が整合的でない場合があり、的確なリスク管理が求められています。

本稿では、国際課税問題の進展とグローバル市場における日本企業の税務ポジションを踏まえ、移転価格課税における重要な論点である無形資産取引にかかる議論を取り上げ、日本企業にとっての移転価格課税リスク、特に中国等新興国との間での二重課税リスクについて解説します。

ポイント

  • BEPSを契機として、無形資産取引について、各国課税当局の関心が一層高まっているなか、国際的な課税ルールの方向性は、無形資産の定義を広範に捉えることにより、各国ともに課税権の拡大を図ろうとしている。
  • 無形資産取引における課税権の主張は、中国等新興国における最近の移転価格調査において顕在化しており、先進国との間の二重課税リスクとして大きな問題となってきている。
  • 中国等新興国との間では、国際課税ルールであるOECD移転価格ガイドラインが尊重されない場合があり、二重課税になった場合の救済措置が十分に機能しない可能性がある。
  • 実効税率引下げに積極的であった欧米の多国籍企業が過度に実効税率を引下げる場合には、各国課税当局のBEPS対抗策によるチャレンジを受けるリスクがあり、課税リスクとのバランスを考慮して実効税率引下げを検討していく必要がある。他方、中国等新興国との間で二重課税が救済されず残存するリスクに対しては、グローバルでの低い実効税率が二重課税リスクのヘッジとして機能する可能性があると考えられる。
  • 実効税率引下げに積極的でなかった日本の多国籍企業による実効税率引下げは、各国課税当局のBEPS対抗策によるチャレンジを受けるリスクは相対的に低いものと考えられる。他方、中国等新興国との間で二重課税が救済されず残存するリスクに対しては、グローバルでの高い実効税率が二重課税リスクのヘッジとして機能できず、二重課税を伴う高い実効税率が企業の許容範囲を越えてしまう恐れがあるものと考えられる。

内容

  1. 国際課税問題の進展とグローバル市場における日本企業の税務ポジションについて
  2. 多国籍企業の濫用的租税回避によるBEPSの問題
  3. 移転価格課税による二重課税リスク
    1. 米国における子会社へのCPMによる課税
    2. 日本における親会社へのRPSMおよびTNMMによる課税
    3. 中国におけるCPM類似のTNMMによる課税
  4. 無形資産取引にかかる問題
    1. OECD移転価格ガイドライン改訂にかかる議論
    2. 改訂ディスカッション・ドラフトにおける議論
    3. 無形資産取引にかかる二重課税の可能性
  5. BEPSを契機とした新たな移転価格課税リスクへの対応

執筆者

KPMG 税理士法人
国際事業アドバイザリー
パートナー 経営法博士、税理士 角田 伸広

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信