中国移転価格調査と課税上の論点と実務 第2回 日中で取扱いが相違する移転価格税制上の諸論点と移転価格調整リスク | KPMG | JP

中国移転価格調査と課税上の論点と実務 第2回 日中で取扱いが相違する移転価格税制上の諸論点と移転価格調整リスク

中国移転価格調査と課税上の論点と実務 第2回 日中で取扱いが相違する移転価格税制上の諸論点と移転価格調整リスク

2008年から2009年にかけての中華人民共和国企業所得税法、同施行条例、および特別納税調整実施弁法(試行)の発表以来、中国の移転価格税制の執行はますます厳格化しています。移転価格調査と課税において、中国政府は、日本政府と同様、独立企業間原則に従いますが、個別問題に対して特有の見解を持っており、その中には日本を含む他国の取扱いと異なる部分も少なくありません。

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移転価格調査の強化もその一環です。2012年度、中国における移転価格調査による追徴総額は46億人民元であり、前年度に比べて2倍弱増加しています。また、2012年度の企業の修正申告による追徴総額は283億人民元であり、移転価格調査による追徴総額の6倍強に上りました。さらに、移転価格調査と修正申告による1件当たりの追徴税額は、それぞれ2,620万人民元と、3,410万人民元であり、ともに巨額化しています。

一方、2012年の1月から上海市をはじめ9つの省および直轄市で実施された間接税改革の結果、広い範囲で減税が行われました。このような状況下において、中国各地の税務局は、その税収を確保するため、今後一層移転価格調査を強化することが予想されます。

移転価格調査と課税において、中国政府は、日本政府と同様、独立企業間原則に従いますが、個別問題に対して特有の見解を持っており、その中には日本を含む他国の取扱いと異なる部分も少なくありません。

そこで、中国移転価格調査と課税上の論点と実務について、1月号(KPMG Insight Vol.4/Jan 2014)と3月号(KPMG Insight Vol.5/Mar 2014)の2回に分けて解説しています。

第2回目となる本稿でも、第1回と同様に筆者が経験した実際の複数の移転価格調査事案を合成した設例を用いて、実務上よく遭遇する、日中で取扱いが相違する移転価格税制上の重要な諸論点と実務を洗い出したうえで、これらにかかわる、日中両国における移転価格調整リスクを明らかにします。

ポイント

  • 日本では、重要な価値を有する顧客リスト、販売網等は無形資産として認知されるが、中国ではロイヤルティーの対象となりうる無形資産と解釈する余地がない。そのような無形資産に対してロイヤルティーを回収しないと、日本の税務当局から顧客リストに由来する利益の未回収として、移転価格調整が行われるリスクがある。
  • 中国の移転価格税制上、超過利潤の帰属先判定にあたり、無形資産の法的所有権、あるいはその形成等への貢献のいずれに拠るべきか定める規定がない。
  • 長期間経過した技術使用許諾契約に基づくロイヤルティー、および将来の使用権に基づくロイヤルティーについて、それらの対価性についての日中税務当局の見解の相違があり、移転価格調整が行われるリスクがある。
  • 地域特有の優位性に由来する利益の存在あるいはその額について日中税務当局の見解が一致しない場合、日本における移転価格調整リスクが顕在化する恐れがある。
  • 日本の移転価格税制上、企業グループ内役務取引対価の回収が強く求められるが、中国の税制上、その支払いが「管理費」、あるいはそれに類した対価性が曖昧だと判断されると、その支払いおよび損金算入が認められず、結果、日本で移転価格調整が発生するリスクがある。
  • 妥当な比較企業の選定について日中税務当局の間で見解が相違することは珍しくない。一方の税務当局の考え方に沿って比較企業に基づいて決定した関連者取引利益の国際配分に対して、他方の税務当局から問題視されるリスクがある。

内容

  1. はじめに
  2. ケース・スタディ
    1. 無形資産
    2. 地域特有の優位性(location specific advantages)
    3. 企業グループ内における役務取引
    4. 比較企業

執筆者

KPMG 中国
上海事務所 パートナー 大谷 泰彦
上海事務所 シニアマネジャー 楊 揚
広州事務所 シニアマネジャー 楊 暁軍

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