中国移転価格調査と課税上の論点と実務 主要論点と中国政府の一般的な実務および見解 | KPMG | JP
close
Share with your friends

中国移転価格調査と課税上の論点と実務 第1回 主要論点と中国政府の一般的な実務および見解

中国移転価格調査と課税上の論点と実務 第1回 主要論点と中国政府の一般的な実務および見解

2008年から2009年にかけての中華人民共和国企業所得税法、同施行条例、および特別納税調整実施弁法(試行)の発表以来、中国の移転価格税制の執行はますます厳格化しています。一方、2012年の1月から上海市をはじめ9つの省および直轄市で実施された間接税改革の結果、広い範囲で減税が行われました。このような状況下において、中国各地の税務局は、その税収を確保するため、今後一層移転価格調査を強化することが予想されます。

関連するコンテンツ

2008年から2009年にかけての中華人民共和国企業所得税法、同施行条例、および特別納税調整実施弁法(試行)の発表以来、中国の移転価格税制の執行はますます厳格化しています。移転価格調査の強化もその一環です。2012年度、中国における移転価格調査による追徴総額は46億人民元であり、前年度に比べて2倍弱増加しています。また、2012年度の企業の修正申告による追徴総額は283億人民元であり、移転価格調査による追徴総額の6倍強に上りました。さらに、移転価格調査と修正申告による1件当たりの追徴税額は、それぞれ2,620万人民元と、3,410万人民元であり、ともに巨額化しています。

一方、2012年の1月から上海市をはじめ9つの省および直轄市で実施された間接税改革の結果、広い範囲で減税が行われました。このような状況下において、中国各地の税務局は、その税収を確保するため、今後一層移転価格調査を強化することが予想されます。

移転価格調査と課税において、中国政府は、日本政府と同様、独立企業間原則に従いますが、個別問題に対して特有の見解を持っており、その中には日本を含む他国の取扱いと異なる部分も少なくありません。

そこで、中国移転価格調査と課税上の論点と実務について、2回に分けて解説します。

第1回目の本稿では、筆者が経験した実際の複数の移転価格調査事案を合成した設例を用いて、中国移転価格調査と課税においてよく見られる論点と、それらに対する中国政府の実務および一般的な見解を包括的に解説します。

ポイント

  • 高利益を計上できないハイテク企業に対する移転価格税制の執行が厳格化する傾向にある。ハイテク企業認定を取得する場合、実際にそれ相応の研究開発機能を果たし、またコア技術を源泉として利益を稼ぐようにすることが必要である。
  • 修正申告による移転価格調整は、税務局による柔軟な運用が期待でき、正式調査に比べ費用削減できることもあるが、担当官の交代などにより将来同一取引に対する調査の可能性がある。また、相互協議申立てに必要な正式な納税通知書が発行されず、二重課税救済が受けられないため、慎重に判断する必要がある。
  • 「研究開発機能」と「販売機能」のない製造業者は、単一機能製造企業とみなす極端な運用がされており、営業利益率換算5%程度の「一定の利益」を常に計上していない場合、移転価格調整される傾向にある。より事業実体に即した合理的な合意をすべく、税務局と議論を行うべきである。
  • 赤字企業が海外関連者に支払ったロイヤルティーの合理性に対して疑義が呈されることが多いが、ロイヤルティー支払い対象の無形資産を利用して中長期的に超過利潤を稼ぐ見込みであること、また、実際に稼ぐことによって税務局に反論できる。
  • 事実上密接な繋がりのある複数の中国関連者の合算利益により、個別関連者の移転価格の合理性を判断することは難しい。
  • 合算損失の国際配分につき、中国税務当局は、原則、機能・リスク分析に基づいて中国納税者が稼ぐべき独立企業間利益を算出するため、国際事業全体の損失の一部を負担した結果、低利益や累積損失を計上しているのであれば、妥当性を主張できる。
  • 開業期間の設備稼働率不足、原材料価格の上昇、人民元の値上がりなどの特殊要因調整については、利益への影響を信頼性高く定量化することと、分析ロジックをすべての地方税務局が受け入れるとは限らないことに留意する。
  • 中国では二次調整の実行は厳格な外貨管理規制の存在などにより困難である。
  • 現在、中国においてAPAを含む相互協議案件の処理スピードは遅い。

内容

  1. はじめに
  2. ケース・スタディ
    1. 正式の移転価格調査前
    2. 正式の移転価格調査中
    3. 正式の移転価格調査後続年度

執筆者

KPMG 中国
上海事務所 パートナー 大谷 泰彦
上海事務所 シニアマネジャー 楊 揚
広州事務所 シニアマネジャー 楊 暁軍

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信