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2014年度税制改正大綱

2014年度税制改正大綱

12月12日、政府与党(自民党・公明党)は「2014年度税制改正大綱」を決定しました。このニュースレターでは、税制改正大綱で提案されている主な改正点をお知らせいたします。

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この税制改正大綱で示された改正案は、10月1日に公表された「民間投資活性化等のための税制改正大綱」で示された改正案とともに、来年の通常国会で審議される予定です。

なお、税制改正大綱は改正案の概要を示すものであり、改正の詳細は、改正法案の公表並びに法律及び政省令の公布を待たなければなりません。また、今後の国会審議等によりその内容に変更が生じる可能性がありますので、ご留意くださいますようお願いいたします。

 

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Outline of the 2014 Tax Reform Proposals

I. 法人税

1. 法人実効税率の引下げ(復興特別法人税の1年前倒し廃止)

東日本大震災の復興財源に充てるために導入された復興特別税(復興特別法人税及び復興特別所得税)のうち、法人(内国法人及び外国法人)に対して課せられる復興特別法人税が1年前倒しで廃止されます。

「1年前倒し廃止」の詳細は明らかではありませんが、以下のように、復興特別法人税の課税期間が短縮され、法人実効税率が引き下げられるものと考えられます。

復興特別税の課税期間

  課税標準 × 税率 課税期間
現行法 改正案
復興特別
法人税
各事業年度の法人税額
× 10%
2012年4月1日から2015年3月31日までの期間内に開始する事業年度(3年間) 2012年4月1日から2014年3月31日までの期間内に開始する事業年度(2年間)
復興特別
所得税
所得税額(源泉所得税額を含む。)
× 2.1%
2013年1月1日から2037年12月31日(25年間) 改正なし

 

法人税実効税率

  2014年3月31日までに開始する事業年度 2014年4月1日以後に開始する事業年度
法人税 25.5% 25.5%
復興特別
法人税
2.55%
(25.5% x 10%)
-
地方法人
特別税
4.292% 4.292%
事業税 3.26% 3.26%
住民税 5.28%
(25.5% x 20.7%)
5.28%
(25.5% x 20.7%)
合計 40.882% 38.332%
実効
税率
38.01%
(40.882% x 100/107.55)
35.64%
(38.332% x 100/107.55)

 

(この実効税率は、地方法人特別税及び事業税が損金算入されることを考慮し、期末資本金の額が1億円を超える法人に対する東京都の現行税率を用いて計算しています。)

また、現行法上、法人が利子及び配当等に課される復興特別所得税は、その事業年度の復興特別法人税から控除し、復興特別法人税の課税期間終了後は、復興特別法人税の申告を行うことにより還付を受けることができることとされています。

税制改正大綱では、この復興特別所得税の取扱いについて、復興特別法人税の課税期間終了後は、法人が利子及び配当等に課される所得税と合わせて、その事業年度の法人税から控除し、控除しきれない金額がある場合には、その金額を還付するよう見直すことが提案されています。

2. 交際費の損金算入限度額

法人が各事業年度に支出する交際費等の額のうち、損金算入限度額を超える金額は、損金に算入されないこととされています。

2014年度税制改正大綱では、交際費等の損金算入限度額を以下のように見直すことが提案されています。

普通法人の
区分
損金算入限度額
現行法 改正案
中小法人 800万円 下記(1)又は(2)の選択適用
(1)800万円
(2)飲食のために支出する費用の額(社内接待費を除く)の50%
中小法人以外 0 飲食のために支出する費用の額(社内接待費を除く)の50%

中小法人とは期末資本金の額が1億円以下の普通法人をいいます。ただし、以下のものは除かれます。

  • 大法人(資本金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある法人
  • 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人

3. 国家戦略特別区域における税制措置の創設

国家戦略特別区域法の制定に伴い、以下の税制措置が創設されます。


(1)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除
青色申告書を提出する法人で、国家戦略特別区域法の一定の特定事業の実施主体として認定区域計画に定められたものが、2014年4月1日又は同法の区域計画に関する規定の施行日のいずれか遅い日から2016年3月31日までの間に、国家戦略特別区域内において、事業実施計画に記載された(a)に掲げる対象資産で一定の規模以上のものの取得等をして、その特定事業の用に供した場合には、(b)の特別償却又は税額控除を選択適用することができることとされます。

なお、本制度は国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却・特別控除制度又は国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例との選択適用とされています。

一定の特定事業とは、国家戦略特別区域法の特定事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資するものとして日本の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる事業をいいます。具体的な内容については、今後、政府及び与党の税制調査会において検討することとされています。


(a)対象資産

資産の種類 取得価額要件
機械装置 1台又は1基の取得価額が2,000万円以上
開発研究用器具備品 1台又は1基の取得価額が1,000万円以上

建物

建物附属設備構築物

一の建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が1億円以上

 

(b)特別償却又は税額控除
特別償却限度額及び税額控除限度額は以下のとおりです。

資産の区分 特別償却 税額控除

機械装置

開発研究用

具備品

特定中核事業の用に供される一定のもの 取得価額 - 普通償却限度額
(即時償却)
取得価額 x 15%
(法人税額の20%を限度)
上記以外 取得価額 x 50%

建物

建物附属設備構築物

取得価額 x 25% 取得価額 x 8%
(法人税額の20%を限度)

特定中核事業とは、一定の特定事業のうち中核となる事業をいい、具体的には、イノベーションにより新たな成長分野を切り開いていくため、特に促進していくべき事業として、次の(i)から(iii)までのいずれにも該当するものを行う事業をいいます。

(i)その地域に存する人的・物的資源を活用することによって実現できる先端的な取組

(ii)革新的な技術開発による国民生活の改善や、新規産業・新規市場の創出につながる取組

(iii)他の地域に広くメリットが波及する取組

なお、特定中核事業は、まずは先端的技術を活用した医療等医療分野を対象とし、特区の具体的な内容についての検討が進んだ段階において、必要に応じて追加することとされています。

 

(2)試験研究費の税額控除
上記(1)の特別償却の適用を受ける特定中核事業の用に供された設備が開発研究用資産である場合において、試験研究費の税額控除の適用を受けるときは、その減価償却費は特別試験研究費として取り扱われます。

総額型税額控除(試験研究費の総額に対して一定の税額控除割合を乗じた額を控除する制度)において、12%の税額控除割合が適用される試験研究費(特別試験研究費に該当しない場合の税額控除割合は、原則として最高10%)をいいます。

 

(3)国家戦略民間都市再生事業に係る課税の特例措置
国家戦略民間都市再生事業を定めた国家戦略特別区域法の区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたことにより、その事業の実施主体に対して都市再生特別措置法の民間都市再生事業計画の認定があったものとみなされた場合には、その計画に基づいて行われる都市再生事業により整備される建築物について、以下の特例措置の適用が認められます。

(a)割増償却
特定再開発建築物等の割増償却制度における都市再生事業に係る措置(普通償却限度額の40%~50%に相当する金額の割増償却)の対象とされます。

(b)登録免許税の軽減
認定民間都市再生事業計画に基づき特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(0.15%~0.3%)の適用が認められます。

4. 会社法改正に伴う税制の見直し

今年11月29日に臨時国会に提出された会社法の改正法案(継続審査となり、来年の通常国会にて審議されます。)で示された会社法の改正に関連して、以下の改正が提案されています。


(1)監査等委員会設置会社制度
会社法の改正により、新たな企業統治形態として、監査等委員会設置会社制度が創設されることを受けて、監査等委員会設置会社が役員に対して支給する給与に関して、以下の法人税法の改正が提案されています。

  • 取締役会の決議において監査等委員会の委員の過半数がその決議に賛成している場合には、その監査等委員会設置会社において、損金の額に算入される利益連動給与の決定の手続に係る要件が満たされることとされます。
  • 監査等委員会の委員である取締役は、使用人兼務役員として取り扱われないこととされます。


(2)株式併合
会社法の改正により、株式併合に反対する株主が、発行法人に対し、端数となる株式を買い取ることを請求できる制度が設けられます。これを受けて、法人が株式併合を行う場合には、買取請求権を行使した反対株主(法人及び個人)に対し、税務上みなし配当が生じないよう手当される予定です。

5. 投資法人(J-REIT)

投資法人が支払う利益の配当の額は、一定の導管性要件を満たす場合には、投資法人の所得の金額の計算上、損金の額に算入されることとされており、その導管性要件のひとつに、90%テスト(支払配当額が配当可能利益の額の90%を超えていること)があります。

税制改正大綱では、投資法人法制の見直しを前提に、90%テストにおいて、正ののれんの償却額の70%を配当可能利益の額から控除することが提案されています。正ののれんが生じる合併を行った場合には、正ののれんの償却額に係る会計と税務の取扱いの差異により税負担が生じることがあり、その税負担の金額によっては、90%ルールを満たすことが困難となることから、この改正はこのような問題点に配慮したものであると考えられます。

II. 地方法人課税

地域間の税源の偏在性を是正するため、法人住民税(地方税)の税率が引き下げられるとともに、その引下げ分に相当する地方法人税(仮称、国税)が創設され、国から地方へ配分されることになります。これまでも、同様の目的で、法人事業税(地方税)の一部が地方法人特別税(国税)として納められ、国から地方へ配分されていましたが、これらの税率の改正も行われます。これらの改正は地域間の税源配分を調整するものですので、法人納税者の納税負担への影響はほとんどありません。

1. 法人住民税の税率引下げ及び地方法人税(国税)の創設

2014年10月1日以後に開始する事業年度より、以下のように、法人住民税(法人税割)の税率が引き下げられ、新たに地方法人税(仮称)が創設される予定です。

 

現行法

法人住民税(法人税割) 地方法人税(仮称)
課税標準 税率 課税標準 税率
法人税額 標準税率
17.3%
道府県分:5.0%
市町村分:12.3%
- -
制限税率
20.7%
道府県分:6.0%
市町村分:14.7%

 

改正案

法人住民税(法人税割) 地方法人税(仮称)
課税標準 税率 課税標準 税率
法人税額 標準税率
12.9%
道府県分:3.2%
市町村分:9.7%
基準法人税額 4.4%
制限税率
16.3%
道府県分:4.2%
市町村分:12.1%

2. 法人事業税及び地方法人特別税(国税)の税率改正

2014年10月1日以後に開始する事業年度より、以下のように、法人事業税及び地方法人特別税の税率が改正される予定です。

(事業税の税率に関する留意点)

  • 以下の税率は標準税率を示しています。制限税率は、標準税率の1.2倍とされています。
  • 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものについては、年間所得800万円以下の所得に係る法人事業税(所得割)の軽減税率の適用はありません。

 

(1)資本金の額が1億円超の法人(外形標準課税対象法人)((3)の法人を除く)

現行法

法人事業税(所得割) 地方法人特別税
課税標準(所得) 税率 課税標準 税率
- 400万円以下 1.5% 所得 x 法人事業税の標準税率 148%
400万円超 800万円以下 2.2%
800万円超 - 2.9%

改正案

法人事業税(所得割) 地方法人特別税
課税標準(所得) 税率 課税標準 税率
- 400万円以下 2.2% 所得 x 法人事業税の標準税率 67.4%
400万円超 800万円以下 3.2%
800万円超 - 4.3%

 

(2)資本金の額が1億円以下の法人((3)の法人を除く)

現行法

法人事業税(所得割) 地方法人特別税
課税標準(所得) 税率 課税標準 税率
- 400万円以下 2.7% 所得 x 法人事業税の標準税率 81%
400万円超 800万円以下 4%
800万円超 - 5.3%

改正案

法人事業税(所得割) 地方法人特別税
課税標準(所得) 税率 課税標準 税率
- 400万円以下 3.4% 所得 x 法人事業税の標準税率 43.2%
400万円超 800万円以下 5.1%
800万円超 - 6.7%

 

(3)電気供給業、ガス供給業及び保険業を行う法人

現行法

法人事業税(収入割) 地方法人特別税
課税標準 税率 課税標準 税率
収入金額
(調整後)
0.7% 収入金額(調整後)
x
法人事業税の標準税率
81%

改正案

法人事業税(収入割) 地方法人特別税
課税標準 税率 課税標準 税率
収入金額
(調整後)
0.9% 収入金額(調整後)
x
法人事業税の標準税率
43.2%

III. 移転価格税制

国外関連者との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引を「国外関連取引」といい、移転価格税制が適用されています。また、非関連者を介して行う国外関連者との資産の取引のうち一定のものは、「国外関連取引」とみなして、移転価格税制が適用されています。

改正により、法人が非関連者を介して行う国外関連者との役務の提供取引等についても、一定のものは「国外関連取引」とみなして、移転価格税制が適用されることになります。

IV. 国際課税原則の見直し

税制改正大綱では、国際課税原則の見直しが提案されています。この改正は個人の課税関係にも影響を及ぼしますが、ここでは、法人に関する改正の主なポイントをお知らせいたします。

なお、この改正は、2016年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び法人住民税・事業税、2017年分以後の所得税及び2018年分以後の個人住民税について適用されます。

A. 外国法人に対する課税

1. 外国法人の国際課税原則の見直し
外国法人に対する国内法の課税原則が、「総合主義」※1から2010年改訂後のOECDモデル租税条約第7条(事業所得条項)※2に沿った「帰属主義」※1に変更されます。

※1 総合主義のもとでは、国内に恒久的施設(以下「PE」(Permanent Establishment))PEを有する外国法人については、そのPEに帰属する国内事業所得に(原則として)国内源泉所得のすべてが合算され、法人税の課税対象とされます。一方、帰属主義のもとでは、PEに帰属する国内事業所得が法人税の課税対象とされ、PEに帰属しない国内源泉所得については、国内にPEを有しない外国法人と同様の課税(一部の譲渡所得等を除き、原則として、源泉所得課税のみ)がなされます。

※2 OECDモデル租税条約の第7条及びそのコメンタリーは、2010年にAOA(Authorised OECD Approach/OECD承認アプローチ)に沿ったものに改訂されました。AOAとは、OECDが2008年及び2010年に公表した「PEへの利得の帰属に関するレポート」でとりまとめたPE帰属所得の算定方法です。AOAのもとでは、PEの果たす機能及び事実関係に基づいて、外部取引、資産、リスク、資本をPEに帰属させ、PEと本店等との内部取引を認識し、その内部取引が独立企業間価格で行われたものとして、PE帰属所得を算定することになります。


2. 国内源泉所得の範囲

  • 外国法人が日本に有するPEに帰属する所得(以下「PE帰属所得」)が、従来の国内事業所得に代わり、国内源泉所得の一つとされます。(たとえば、PEの第三国における投資所得が、現地国における課税の有無にかかわらず、日本で課税されることとなります。)
  • 国内源泉所得とされる国内資産譲渡所得の範囲は、現行制度上、日本にPEを有しない外国法人(以下「Non-PE外国法人」)において課税対象となる資産の譲渡所得と同様のものに限ることとされます。

※ 国内不動産、国内不動産関連法人株式及び事業譲渡類似株式の譲渡所得その他の譲渡所得


3. PEを有する外国法人のPE帰属所得以外の国内源泉所得に対する課税

  • PE帰属所得以外の国内源泉所得(以下「PE非帰属国内源泉所得」)は、PE帰属所得とは分離して、Non-PE外国法人が得る国内源泉所得と同様に課税されます。


4. PE帰属所得
(1)PE帰属所得

  • PE帰属所得は、PEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合にそのPEに帰せられる所得とされます。


(2)内部取引

  • PE帰属所得の算定においては、PEと本店等との間の内部取引について損益を認識することとなります。
  • 移転価格税制等は、内部取引に対して以下のように適用されます。
    • 内部取引価格と独立企業間価格が異なることによりPE帰属所得が過少となっている場合には、移転価格税制と同様に、内部取引価格を独立企業間価格に引き直して、PE帰属所得を計算します。
    • 更正期限を延長する特例、同業者に対する質問検査権及び推定課税も、移転価格税制と同様に適用されます。
    • PEから本店等に対する寄附に相当する内部取引が行われた場合には、国外関連者に対する寄附金と同様に全額損金不算入とされます。
  • PE帰属所得の計算上、本支店間の内部保証取引及び内部再保険取引は認識されません。
  • 2010年改訂前のOECDモデル租税条約第7条に相当する租税条約の規定の適用がある場合には、無形資産の内部使用料及び一般事業会社の内部利子は認識されません。
  • 本店からPEへの支店開設資金の供与やPEから本店への利益送金等については、資本等取引として擬制されます。
  • PEから本店等に対する内部支払利子等のみなし支払に関しては、日本の源泉課税は行われません。


(3)PE帰属所得の計算

  • PEが本店等のために行う単なる購入活動からは所得が生じないものとする単純購入非課税の取扱いは、廃止されます。(単純購入非課税の取扱いを認める租税条約の適用がある場合には、その租税条約の定めによることとされます。)
  • 本店等で行う事業とPEで行う事業に共通する費用を合理的な基準でPEに配賦した場合には、PEにおける費用として認められます。ただし、費用配賦の算定に関する書類の保存がない場合には、原則として、損金算入は認められません。
  • PEが外部に譲渡される場合には、その譲渡による所得はPE帰属所得とされることとなります。
  • PEが閉鎖される場合には、PE帰属資産の時価評価損益を、PEの閉鎖の日の属する事業年度のPE帰属所得として認識することとされます。また、繰り延べた損益があれば、それらはPEの閉鎖の日の属する事業年度において、益金の額又は損金の額に算入され、PE帰属所得に係る繰越欠損金は、PEの閉鎖に伴い消滅することとされます。


(4)PEへの資本の配賦及びPEの支払利子控除制限

  • PEの自己資本相当額が、PE帰属資本(PEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本)の額に満たない場合には、PEにおける支払利子総額(内部利子及び費用配賦された利子を含む。)のうち、その満たない部分に対応する金額について、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しないこととされます。
  • PE帰属資本の額は、次のいずれかの方法によって計算した金額とされます。(選択した方法は、原則として継続適用することが求められます。)

(i)資本配賦アプローチ

  • 「外国法人の資産の額」及び「PE帰属資産の額」は、原則として、リスクウェイト資産の額(信用リスク、市場リスク、業務リスク及びその他のリスクを考慮した金額)とされますが、金融機関以外は、資産の帳簿価額とすることも認められます。
  • 「外国法人の自己資本の額」及び「外国法人の資産の額」は、原則として、単体ベースの金額とされますが、その外国法人の自己資本比率が著しく低い場合その他の場合には、連結ベースの金額とされます。

(ii)過少資本アプローチ

  • 「比較対象法人」とは、日本においてPEと同種の事業を行う法人で事業規模その他の状況がPEと類似するものをいいます。
  • 「比較対象法人の資産の額」及び「PE帰属資産の額」はリスクウェイト資産の額とされます。
  • 金融機関以外は、比較対象法人の負債資本比率を用いることも認められます。
  • 比較対象法人の自己資本比率が著しく低い場合には、その値を用いることはできません。


(5)銀行又は証券業を営むPEに帰せられる一定の負債利子の損金算入

  • 銀行又は証券業(第一種金融商品取引業)を営む外国法人の規制上の自己資本のうちに負債に該当するものがある場合には、規制上の自己資本とされる負債につきその外国法人が支払った利子のうち、上記(4)によりPE帰属資本の額に応じてPEに配賦された金額は、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入されます。


(6)過少資本税制及び過大支払利子税制の適用

  • 上記(4)で述べた支払利子控除制限の規定の導入に伴い、PEに対して過少資本税制は適用されないことなります。
  • 内部支払利子は、過大支払利子税制の対象となる「関連者支払利子等」に含まれるものとされます。
  • 上記(5)により銀行又は証券業を営むPEに配賦される負債利子のうち、関連者等に対する支払利子に相当する部分については、過大支払利子税制の対象となる「関連者支払利子等」に該当しないこととされます。

 

(7)文書化

  • PEを有する外国法人は、以下の書類を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示又は提出しなければならないこととされます。また、内部取引を帳簿に記載することも義務付けられます。

外部取引

  • PEに帰せられる外部取引に係る明細を記載した書類等

内部取引

  • 内部取引に関する注文書、送り状、領収書等の証憑類に相当する書類(青色申告法人の帳簿書類保存義務の対象)
  • 内部取引においてPE及び本店等が果たす機能及び事実関係を示す書類等
  • 内部取引に係る独立企業間価格の算定に関する書類


5. 課税標準・繰越欠損金・申告

  • PEを有する外国法人
    • 課税標準は「PE帰属所得」及び「PE非帰属国内源泉所得」の2区分とされ、これらは通算されません。繰越欠損金も同様に2区分とされます。
    • 事業年度ごとに「PE帰属所得」(法人税の課税対象となる「PE非帰属国内源泉所得」を有する事業年度においては、その所得を含みます。)に係る法人税の申告書を提出することとされます。(租税条約等の規定により法人税が非課税とされる国内源泉所得のみを有する場合には、法人税の申告書の提出は不要です。)
  • Non-PE外国法人
    • 課税標準は「PE非帰属国内源泉所得」とされ、繰越欠損金も「PE非帰属国内源泉所得」に係るものとされます。
    • 法人税の課税対象となる「PE非帰属国内源泉所得」を有する場合のみ、その所得に係る法人税の申告書を提出することとされます。(租税条約の規定により法人税が非課税とされる「PE非帰属国内源泉所得」のみを有する場合には、法人税の申告書の提出は不要です。)


6. 外国税額控除

  • 外国法人のPEが本店所在地国以外の第三国で得た所得がPE帰属所得として日本において課税対象となることに伴い、PEのための外国税額控除制度が設けられることとなります。
  • 外国税額控除の限度額算定の基礎となる国外源泉所得は、PE帰属所得について、それぞれの所得種類のソースルールで源泉地国の判定をした場合に国外で生じたものと認められる所得とされます。
  • 控除対象となる外国法人税は、原則として、外国法人に対して第三国で課された外国法人税のうちPEに帰せられるものとされます。なお、日本とその第三国との間の租税条約に定める限度税率によって計算される金額が限度とされ、超える部分は損金の額に算入されます。


7. その他

  • 外国法人のPE帰属所得及び税額計算に関して、同族会社の行為計算否認に類似した租税回避防止規定が設けられます。

B. 内国法人に対する課税

1. 外国税額控除の限度額算定の基礎となる国外源泉所得

  • 現行法上、「国内源泉所得以外の所得」とされている国外源泉所得の範囲が、項目ごとに定められることになります。
  • 内国法人が国外に有するPEに帰せられる所得(以下「国外PE帰属所得」)は、国外源泉所得とされる項目の一つとされます。
  • 国外源泉所得である国外資産譲渡所得の範囲も、国外不動産、国外不動産関連株式及び事業譲渡類似株式等の譲渡所得に相当するものに限られることとされます。


2. 国外PE帰属所得

  • 国外PE帰属所得の計算は、外国法人のPE帰属所得の計算に準じて行いますが、たとえば、以下の点については留意が必要です。
  • 国外PEで計上された支払利子総額のうち、国外PE帰属資本の額に満たない部分に対応する金額は、国外PE帰属所得に加算することとされます。
    • この取扱いは、確定申告書に計算明細を添付する等の要件を満たす場合に限り、適用されます。
    • 銀行の国外PE帰属資本の額の計算において、一定の場合には、貸出債権に係る信用リスクのみを用いて、リスクウェイト資産の額の計算を行うことが認められます。
  • 銀行又は証券業を営む内国法人については、規制上の自己資本のうち負債に相当するものがある場合には、その負債に係る利子のうち国外PE帰属資本に対応する部分の金額は、国外PE帰属所得から減算することとされます。
  • 国外PE帰属所得の算定においては、PE閉鎖時の時価評価損益の計上及び繰り延べた損益の計上は行わないこととされます。


3. 国外PE帰属所得に係る文書化

  • 外国税額控除の適用を受けようとする場合には、国外PE帰属所得の算定に関し、A.4.(7)に相当する書類を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示又は提出しなければならないこととされます。
  • 国外PE帰属所得の算定においては、本店等で行う事業と国外PEで行う事業に共通する費用の国外PEへの配賦計算に関する書類を作成しなければならないこととされます。

V. 所得税

1. 給与所得控除の見直し

現在245万円とされている給与所得控除額の上限額が、以下のように引き下げられる予定です。

 

現行法

給与等の収入金額 給与所得控除額
- 180万円以下 収入金額 x 40%(最低65万円)
180万円超 360万円以下 収入金額 x 30%+18万円
360万円超 660万円以下 収入金額 x 20%+54万円
660万円超 1,000万円以下 収入金額 x 10%+120万円
1,000万円超 1,500万円以下 収入金額 x 5%+170万円
1,500万円超 - 245万円(上限額)

改正案

  給与所得控除額(上限額)
2016年 230万円(給与等の収入金額1,200万円超)
2017年以降 220万円(給与等の収入金額1,000万円超)

2. ストックオプションの発行法人への譲渡

発行法人から与えられた非適格ストックオプションを、権利行使前にそのストックオプションの発行者に譲渡した場合には、譲渡所得ではなく、事業所得、給与所得、退職所得、一時所得又は雑所得として課税されることとなります。

この改正は、2014年4月1日以後に行うストックオプションの譲渡について適用されます。

3. 雑損控除の見直し

納税者又は納税者と生計を一にする親族で一定のものの有する資産(生活に通常必要でない資産等を除く。)について、災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合には、雑損控除として、課税所得の計算上、以下の金額を控除することが認められています。

 

雑損控除の金額(いずれか多い金額)
(i)(災害等による資産の損失の金額 + 災害関連支出の金額)- 年間所得金額 x 10%
(ii)災害関連支出の金額 - 5万円

 

上記の「災害等による資産の損失の金額」の算定方法が、以下のように改正される予定です。

現行法 改正案
損失発生直前の資産の価額 損失発生直前の資産の価額
又は
資産の取得価額 - 減価償却費累積額相当額

4. 「生活に通常必要でない資産」の範囲の拡充

「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は他の所得と損益通算することができず、「生活に通常必要でない資産」の災害等による損失には雑損控除(上記3.参照)は適用されないこととされています。

今回の改正により、この「生活に通常必要でない資産」の範囲が以下のように拡充される予定です。

現行法 改正案

(i)競走馬(事業用のものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産

(ii)主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産等

(iii)貴金属、書画、骨董等で30万円超のもの等

(i)~(iii)現行法どおり

(iv)主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)


この改正は、2014年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用されます。

VI. 消費税

1. 簡易課税制度のみなし仕入率の見直し

簡易課税制度は、業種に応じて定められたみなし仕入率を課税売上高に対する消費税に乗じることにより、簡便的に控除対象仕入税額を計算する制度で、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税事業者に対して、選択による適用が認められています。

この簡易課税制度のみなし仕入率について、業種の区分を6つに分類するとともに、金融保険業と不動産業のみなし仕入率を以下のように見直すことが予定されています。

上記の改正は、2015年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

2. 課税売上割合の計算の見直し

課税売上高に対する消費税額から控除する控除対象仕入税額は、原則として、課税売上割合(=課税資産の譲渡等の対価の額の合計額/資産の譲渡等の対価の額の合計額)を用いて計算されます。

金銭債権の譲渡は非課税売上として取り扱われており、現行法においては、課税売上割合の計算上、原則として譲渡対価の全額を資産の譲渡等に係る対価の額(分母の額)に含めることとされていますが、有価証券の譲渡の取扱いと同様に、その譲渡対価の5%相当額のみを分母の額に含めることとする改正が予定されています。

この改正により、金銭債権の譲渡を行ったことによる課税売上割合の減少が緩和されることになります。

この改正は、2014年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。

VII. 不服申立制度の見直し

行政不服審査法の改正が行われることに伴い、不服申立制度(国税及び地方税)の見直しが行われます。以下は、国税の不服申立制度の改正の概要を示したものです。

現行法

改正案

また、審査請求に基づく審理の過程において、現行法では、審査請求人及び参加人に対し、原処分庁の提出した物件の閲覧が認められているだけですが、改正により、審理関係人(審査請求人、参加人、原処分庁)は、担当審判官の職権収集資料を含め物件の閲覧及び謄写を求めることができることとされる予定です。

これらの改正は、改正行政不服審査法の施行日から適用されます。

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