無形資産の評価 | KPMG | JP

無形資産の評価

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無形資産の使用許諾/譲渡取引に係る対価

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多国籍企業の一層のグローバル化により、従来のモノの海外への輸出から、無形資産や活動(継続事業)の海外への移転などが加速する傾向にある。それに伴って、特許権、商標等の法的権利や技術ノウハウといった無形資産を国外関連法人に使用許諾するケース(ロイヤルティ支払等)や無形資産を本社から地域統括会社に移転するケースが移転価格調査において議論となるケースも散見されつつある。

2015年10月に最終報告書が公表されたOECDによる税源浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)に対する行動計画8-10では無形資産に関する定義がなされている。その中で無形資産取引の種類としては、無形資産又はその権利の「移転」、及び棚卸資産取引又は役務提供取引に関連して無形資産の「使用」が関わる取引を定義している。

無形資産の使用許諾に係る対価、例えば、ロイヤルティの対価算定においては、取引単位営業利益法利益分割法など、ライセンシーや関連当事者が稼得する超過利益に着目した移転価格算定方法が移転価格調査の場面で適用されることが多い。また、無形資産の譲渡に係る対価算定においては、その無形資産から生じるキャッシュフロー等を基礎とする割引現在価値法(Discounted Cash Flow(DCF)法)が実務上は一般的である。本邦移転価格税制においてはその取扱いが明確には規定されていないが、OECDのBEPS行動計画8-10では無形資産に関する議論がされており、無形資産の移転又は使用に関する移転価格算定方法についての補助的ガイドラインにて、信頼性ある比較対象取引が存在しない場合の評価方法としてDCF法(割引キャッシュフロー)も適切に利用されれば有益な方法として採用されうることを示した。
また、BEPSの最終報告書では、評価困難な無形資産(Hard to Value Intangibles(HTVI))を定義し、HTVIに関しては所得相応性基準を認めることを示した。2017年5月にOECDより公表されたDiscussion draftでは、所得相応性基準に関する実施ガイダンスが公表され、2017年7月に公表されたOECDガイドラインにもこの内容が反映されている。2018年度税制改正以降、このDiscussion draft及びOECDガイドラインをベースに国内法制化の実施が見込まれており、各国の税制にどのように反映されるかは今後、見守る必要がある。

事業再編自体に係る対価

上述した無形資産の使用許諾や譲渡に加えて、今後は、企業グループ内の最適資源配分の観点から物流統括会社や知的財産管理会社の設立などによってグループ各企業の機能・リスクの再編が行われるケースについて、事業再編自体に係る対価の計算の必要性が議論されることになる可能性がある。その背景として、OECD移転価格ガイドラインにおいて、事業再編自体の移転価格問題として、以下の事業再編の典型例を挙げながら、事業再編に伴って生じる、有形資産、無形資産及び活動(継続事業)の移転を取り上げ、これらの移転が生じた場合における対価の要否の検討及び対価が必要な場合の対価算定の考え方(「事業再編自体の独立企業間価格」の算定及び「事業再編後の関連者間取引の報酬」)について議論されていることなどが挙げられる。

  • 本格的販売会社(full-fledged distributors)から、リスク限定的販売会社(limited-risk distributors, marketers, sales agents)又はコミッショネア(commissionaires)への転換
  • 本格的製造会社(full-fledged manufacturers)から、契約製造会社(contract-manufacturers)又は受託製造会社(toll-manufacturers)への転換
  • グループ内の中央拠点(知的財産管理会社等への無形資産の移転)
  • 現地で行われる機能や規模の縮小に伴う、地理的及び中央拠点への機能の集結(購買、販売サポート、サプライチェーン物流等)

OECD移転価格ガイドラインにおいて、事業再編自体の独立企業間価格の算定にあたっては、同様の状況下で独立企業間であれば支払うであろう対価に照らして比較可能性分析を行うこととされているが、このような比較対象取引の選定は一般的に容易ではない。また、次のような事項を考慮すべきとされているのみであり、具体的な指針までは示されていない。

  • 事業再編前後の機能、資産及びリスクと事業再編を構成する取引の正確な描写
  • 事業再編の事業上の理由及び事業再編による期待利益の理解
  • 「当事者にとって現実に利用可能な他の選択肢」の有無を考慮して、取引の条件が、類似の状況において独立当事者間であれば同様の条件に合意したと期待できるものであるか否か

2017年7月に公表されたOECD移転価格ガイドラインの第9章が改定され、事業再編に係るリスクの一般的な指針等はBEPSの観点から第1章Dで扱われている。
今まで9章で論じられていたリスクコントロールとリスク負担のための財務能力の観点は、組織再編時に留まらずBEPSにおいて重要な論点となることから、第1章Dの比較可能性分析において取り扱われることとなった。

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