ソルベンシーII(経済価値ベースのソルベンシー規制) | KPMG | JP

ソルベンシーII(経済価値ベースのソルベンシー規制)

ソルベンシーII(経済価値ベースのソルベンシー規制)

欧州における保険会社に対する現行のソルベンシー規制は、2000年に欧州委員会が公表した欧州指令改正案が示すとおり、既存規制の改善と透明化を図るための当面の改正であるソルベンシーIと長期的視点からの抜本的な改正の検討を行うソルベンシーIIから構成されています。

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ソルベンシーIは、欧州全域で共通したソルベンシー規制を導入するための足掛かりという位置付けで2004年から実施されています。

一方、ソルベンシーIIの検討は、2004年のフレームワーク協議文書公表を機に本格化しました。2007年に欧州委員会がフレームワーク指令案を採択し、2009年に欧州議会および理事会が同案を採択しています。現在は、2014年の施行を目指して導入準備が進められています。

ソルベンシーIIは、世界銀行・国際通貨基金(IMF)による金融セクター評価プログラム(FSAP)の目的に貢献すべく、保険会社の財務健全性を確保しリスク耐性を備えることで保険契約者の保護を図ることを主要な目的の1つとしています。そのため、欧州保険年金監督機構(EIOPA)は、ソルベンシー・マージン自体はソルベンシーIIの一構成要素にすぎず、ソルベンシー・マージン以外にも考慮すべき要素があるという視点から、銀行セクターにおけるバーゼルIIと類似した、「3本の柱アプローチ」を提案しています。

第1の柱
定量的要件 ・市場整合的な資産・負債(技術的準備金を含む)の評価
・ソルベンシー資本要件(SCR)
・最低資本要件(MCR)
第2の柱
定性的要件・監督活動 ・企業のガバナンス・リスクマネジメント
・監督機関の審査プロセス
・リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA)
第3の柱
報告・開示 ・監督機関への報告
・一般公衆への開示

第1の柱である定量的資本要件は、ソルベンシーIから大幅に変更される予定です。ソルベンシーIの評価基準が損益勘定(保険料および保険金)を重視したものであるのに対し、ソルベンシーIIは貸借対照表のすべての構成要素を重視したトータル・バランスシート・アプローチを採用しています。このアプローチにおいては、資産および負債は、市場整合的な方法により評価した経済価値(資産および負債から生じる将来キャッシュ・フローを現在価値で評価したもの)にもとづくことが求められており、国際財務報告基準(IFRS)の下での公正価値評価とも調和するように検討されています。日本で導入に向けた準備が進められている経済価値ベースのソルベンシー評価は、このアプローチと整合的なものです。また、第1の柱のうち、監督機関の介入レベルとしては、ソルベンシー資本要件(SCR)と最低資本要件(MCR)の2つが規定されています。第1の柱の構成要素の関係は、以下の図のとおりです。

第2の柱では、企業内のリスク管理とガバナンスの基準、監督機関による審査プロセスといった質的要件を規定しています。この質的要件のなかにはORSA(Own Risk and Solvency Assessment)と呼ばれる、保険会社が保有するリスクとソルベンシーの自己評価が求められています。

第3の柱は、報告・開示要件を規定しています。監督機関への報告は、一般公衆への開示より広範囲な情報の報告が求められています。一般公衆への開示は、市場規律をもたらし保険会社の安定を強化するために必要とされています。

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