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ソフトウェア会計

ソフトウェア会計

【研究開発費等に係る会計基準】及び【研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第12号)】に基づいて、会計上のソフトウェアの定義と区分、ソフトウェア制作費に係る会計処理、減価償却費について概説する。

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1.背景と基準

コンピュータの発達による高度情報化社会の進展の中で、企業活動におけるソフトウェアの重要性は増しており、それに応じてその支出も増加している。そのような中、我が国では、長らくソフトウェアに対する明確な会計基準が存在せず、各企業において区々の会計処理が行われ、企業間での比較を難しくしていた。
このような背景から、【研究開発費等に係る会計基準】が企業会計審議会から公表され、続いて【研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第12号)】が日本公認会計協会から公表された。

2.1 会計上のソフトウェアの定義

【研究開発費等に係る会計基準】では、ソフトウェアを以下のように定義されている。

ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等をいう。

また、【研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第12号)】では以下のように定義されている。

ソフトウェアとは、コンピュータ・ソフトウェアをいい、その範囲は次のとおりとする。

  1. コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム
  2. システム仕様書、フローチャート等の関連文書

2.2 会計上のソフトウェアの区分

NO 区分(取得目的による) 概要
(1) 研究開発目的のソフトウェア 研究開発の過程で制作されるソフトウェアで、将来の収益獲得が不明なもの
(2) 受注制作のソフトウェア システム事業者が、他社からの依頼により受注して制作するソフトウェア
(3) 市場販売目的のソフトウェア オリジナル(製品マスター)を複製して、多数の顧客に販売するソフトウェア
例:パッケージソフト 等
(4) 自社利用のソフトウェア 自社で所有し、利用するソフトウェア
例:自社で使用する会計システム 等

※有限責任 あずさ監査法人 編 「Q&Aソフトウェア会計の実務ガイド」を基に作成

3.1 ソフトウェア制作に係る会計処理(研究開発目的の場合)

研究開発目的のソフトウェア制作費は、研究開発費として処理されるため、発生時に費用として処理する。

3.2 ソフトウェア制作に係る会計処理(受注制作の場合)

受注制作のソフトウェアについては、請負工事の会計処理に準じて処理を行う。

3.3 ソフトウェア制作に係る会計処理(市場販売目的の場合)

市場販売目的のソフトウェアの制作費は、その工程により処理が異なる。
最初の製品の製品マスター完成前の制作費は、研究開発として費用処理する。
最初の製品の製品マスター完成後の制作費は、ソフトウェア制作として、資産計上する。

市場販売目的のソフトウェア制作費の区分

製品マスター完成後のバージョンアップ等に係る制作費は、その内容により処理が異なる。

【製品マスターの著しい改良に要した費用】
機能改良・強化を行うため、主要なプログラムの過半部分を再制作するなど、従来の製品マスターとは別個のマスターを作成したとみなせるような活動を著しい改良という。
製品マスターの著しい改良に係る費用は、研究開発とみなし、費用で処理する。

【ソフトウェアの機能維持に要した費用】
バグ取り、ウィルス防止等の修繕・維持・保存のための活動を機能維持という。
機能維持に係る費用は、発生時に費用で処理する。

【製品マスターの機能の改良(著しい改良を除く)及び強化に要した費用】
ソフトウェアの機能及び強化に係る費用は、当該製品マスターの取得原価として処理する。

3.4 ソフトウェア制作に係る会計処理(自社利用の場合)

自社利用のソフトウェアは、そのソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるかの判断により、処理が異なる。
将来の収益獲得又は費用削減が確実な場合には、資産として処理する。
将来の収益獲得又は費用削減が不確実又は不明な場合には、費用として処理する。

自社利用ソフトウェアの会計処理

確実性 会計処理
確実性あり 資産として計上
不明 費用として処理
確実性なし

※有限責任 あずさ監査法人 編 「Q&Aソフトウェア会計の実務ガイド」を基に作成

【自社利用のソフトウェアが資産として計上される場合の例】
「通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合」

「自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合
例えば、当該ソフトウェアを利用することにより、利用する前に比し間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合、従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合等が考えられ、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合である。」

「市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合」

4.1 資産計上したソフトウェアの減価償却(市場販売目的の場合)

市場販売目的のソフトウェアについては、ソフトウェアの性格に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用して処理する必要がある。
償却方法としては、見込販売数量にもとづく方法のほか、その他の合理的な方法として、見込販売数量に単価を乗じた見込販売収益にもとづく方法により償却計算が行われる場合が多い。
いずれの場合にも、残存有効期間にもとづく均等配分額を下回る場合には、均等配分額を償却費とする。
見込販売数量にもとづく場合の償却計算方法は以下のようになる。

市場販売目的ソフトウェアの償却計算

以下は、販売数量での減価償却方法の例となる。
前述の計算方法により、計算した結果、X1年度は見込数量による償却額が均等配分による償却額が上回るので、見込数量による償却額を使用する。
一方で、X2年目は見込数量による償却額に対して、均等配分による償却額が上回っているので、均等配分による償却額を使用する。
このように、合理的な償却方法を用いた場合でも、均等配分による償却額を下回っている場合には、均等配分による償却額を用いることになる。

見込販売数量にもとづく減価償却方法(例)

  X1年度 X2年度 X3年度
各年度の実績販売数量 550個 350個 600個
販売開始時(X1年度)の総見込販売数量及び各年度の期首の見込み販売数量 1500個 950個 600個
見込販売数量に基づく各年度の減価償却費 A 55,000千円 35,000千円 47,500千円
残余期間にもとづく均等配分償却額 B 50,000千円 47,500千円 47,500千円
AとBのいずれか大きい金額 55,000千円 47,500千円 47,500千円
販売開始時(X1年度)又は各年度の期首の未償却残高 150,000千円 95,000千円 47,500千円

※協会 実務指針(会計制度委員会報告第12号)より

4.2 資産計上したソフトウェアの減価償却(自社利用の場合)

減価償却方法は、当該ソフトウェアの性格に応じて、最も合理的と考えられる減価償却方法を採用すべきものであるが、市場販売目的のソフトウェアに比し収益との直接的な対応関係が希薄な場合が多く、また物理的劣化を伴わない無形固定資産の償却であることから、一般的には、定額法による償却が合理的であると考えられる。
ソフトウェアの利用可能期間の見積もりは、様々な要因により影響を受けるものであり、それぞれの見積もり時点では最善の見積もりであっても、時の経過に伴う新たな要因の発生等により変動することが予想される。
このため、当該ソフトウェアの利用可能期間の見直しの結果、耐用年数の変更を要することとなった場合には、当該事業年度及びソフトウェアの残存耐用年数にわたる将来の損益で認識する。
なお、耐用年数の変更について、過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものではなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく、過去の誤謬の訂正に該当することに留意する。

定額法による償却費の計算及び残存耐用年数を見直した場合の償却費の計算は以下のようになる。

自社利用のソフトウェアの償却計算

自社利用のソフトウェアの耐用年数見直し時償却計算(前事業年度末に耐用年数を変更した場合)

※協会 実務指針(会計制度委員会報告第12号)より

以下は、自社利用のソフトウェアで耐用年数を見直した場合の例となる。

<前提条件>

  1. 自社利用ソフトウェアの取得価額 75,000千円(無形固定資産として計上)
  2. 取得時における当該ソフトウェアの見込利用可能期間 5年
  3. 償却方法は定額法を採用する。
  4. X2年度末において利用期間の見直しを行った結果、X3年度以降の残存利用期間が2年と判明した。
  5. 過去に定めた耐用年数はその時点での合理的な見積もりに基づくものとする。

下図は前提条件による、償却額を計算した結果となる。
初年度、X2年度については、償却期間を5年として、前述の定額法による償却法の式により計算し、15,000千円となる。
一方で、X3年度以降については、見直しの結果により残存耐用年数が2年となったため、残存耐用年数を見直した場合の償却費の式により計算し、22,500千円となる。

例:自社利用ソフトウェアの残存耐用年数を見直した場合の償却方法

  各年度の減価償却額 取得時又は各年度の期首の未償却残高
X1年度 15,000千円 75,000千円
X2年度 15,000千円 60,000千円
X3年度 22,500千円 45,000千円
X4年度 22,500千円 22,500千円
X5年度

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