連邦量刑ガイドライン | KPMG | JP

連邦量刑ガイドライン

連邦量刑ガイドライン

米国においては、1970年代に発生したウォーターゲート事件やロッキード事件という大規模な不正事件をきっかけとして、コンプライアンスの重要性について社会の関心が高まりました。しかし、米国企業のコンプライアンスマネジメントへの積極的取組みを促進した最大のきっかけは、1991年に施行された連邦量刑ガイドラインであったといわれています。

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連邦量刑ガイドラインとは、連邦法上の犯罪に対する連邦裁判所の量刑裁量の基準を明確化・公平化するために作成されたガイドラインです。

この連邦量刑ガイドラインには、次のような特筆すべき2つの特徴があります。

1. 量刑の決定にあたっては、被害者に対する救済を第一義としている点

裁判所は必要と考えられる場合は、罰金刑の宣告を猶予し、会社に対して金銭的な賠償を含めた被害の原状回復を条件とした保護観察とすることが可能であり、被害者の原状回復を罰金刑に優先してでも達成しようとしています。

2. 会社犯罪における量刑の決定を、コンプライアンスマネジメントと結び付けている点

ガイドラインに示された「有効なコンプライアンス・倫理プログラム」を実施している企業については、量刑を軽減する規定を設けています。一方で、このようなプログラムを構築していない企業には、罰金刑を宣告する前に猶予期間を与え、同プログラムを作成・実施することを前提に保護観察とすることができるとしています。

特に、2. が、その後の企業におけるコンプライアンスへの取組みに大きな影響を与えることになったのです。

連邦量刑ガイドラインが定めるコンプライアンス・倫理プログラムの7つの基準

法令等遵守のための有効なコンプライアンス・倫理プログラムの要件は、以下の7つの基準を満たすプログラムを策定・実施することであるとされています。ただし、具体的にどのような施策を実施すればよいかについては、各企業の自主性に委ねられています。

1)基準と手続きの確立

犯罪行為を予防・発見するための基準や手続きを確立すること。

2)管理体制の確立

  • 会社の取締役会は、コンプライアンス・倫理プログラムの内容と運用状態を把握し、プログラムの実施とその有効性について適切に監視すること。
  • 会社の上級幹部をプログラム全体の責任者として任命し、効果的なコンプライアンス・倫理プログラムを保持させること。
  • 会社の特定の者に、コンプライアンス・倫理プログラムの日常の執行に関する権限を委譲し、上層部、取締役会などに対し、コンプライアンス・倫理プログラムの有効性について定期的に報告すること。また、当該担当者に、適切なリソースや権限等が付与されていること。

3)権限委譲の適切性確保

コンプライアンス・倫理プログラムに適合しない行動をとる恐れがある者を、重要な権限を有する職位に就かせないよう適切に努めること。

4)教育・情報伝達の徹底

効果的なトレーニングプログラムを実施したり、各役職員の役割・責任に対応した情報を伝達したりすることによって、会社のすべての構成員に対してコンプライアンス・倫理プログラムの基準や手続きなどを適切な方法で定期的に伝達すること。

5)モニタリング・監査・報告システムの確立

次の事項について、適切な措置を講じること。

  • 犯罪行為を発見するためのモニタリングや監査を含め、コンプライアンス・倫理プログラムが確実に遵守されるようにするための措置
  • コンプライアンス・倫理プログラムの有効性を定期的に評価するための措置
  • 従業員等が報復などを恐れることなく犯罪行為の事実またはその可能性を報告し、指導を求めることができるようなシステムを、匿名での報告を認める仕組みも含めて導入するための措置

6)適切なインセンティブ付与・懲戒の徹底

コンプライアンス・倫理プログラムを遵守するための適切なインセンティブ付与や、犯罪行為への関与または犯罪行為の予防・発見のための適切な措置を講じなかったことに対する懲戒処分をとおして、コンプライアンス・倫理プログラムが常に全社的に推進・強制されること。

7)犯罪行為への適切な対応と再発防止対策

犯罪行為が発見された場合には、コンプライアンス・倫理プログラムに必要な修正を施すことも含め、犯罪行為に対して適切に対応し、同種の犯罪行為の再発を防止するために適切な措置を講じること。

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