払込金保管証明書制度の一部廃止 | KPMG | JP

払込金保管証明書制度の一部廃止

払込金保管証明書制度の一部廃止

近年の日本では、廃業率と開業率の乖離傾向が続き、経済活動の活性化を図るためにも創業の支援が必要とされていました。そこで、平成18年5月に施行された会社法では、このような観点から、会社設立、増資等の登記手続が大幅に見直され、その一つとして、「払込金保管証明書制度の一部廃止」がされました。

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これまで(旧商法時)は、会社設立や増資等の登記の添付書類として、出資金が払い込まれたことを証するため、資本金の払い込みを受けた銀行が発行した保管証明書を添付する必要がありました。しかし、払込金保管証明書の発行は簡単な手続きではなく、下記のようなデメリットがありました。

払込金保管証明書制度のデメリット

銀行側に払い込みの取り扱いを拒否されるケースがままあるため、設立、増資等がスムーズに行えませんでした。

保管証明書の発行までに時間を要するため、登記申請手続に多大な時間がかかっていました。保管証明書の発行には銀行の審査があるため、会社から提出する書類も少なくなく、また、通常は払い込みをしてから発行されるまで約2週間の時間を要していました。

登記が完了するまで出資金を事業に使えませんでした。
出資金は、登記申請(会社設立)が完了してからでなければ払い込みに受けた銀行の別段預金の口座から引き出すことができませんでした。

銀行の発行手続の際、手数料として払込金の0.25~0.5%を支払う必要があり、出資金額が増すほど、手数料のコストがかかっていました。

払込金保管証明書制度の廃止による会社設立、増資手続の簡素化

そこで、平成18年5月1日に施行された会社法では、実務に対応するため保管証明書の発行を一部廃止※1し、会社設立(発起設立に限る)、増資等の登記申請手続きが容易に行えるように改正されました。

会社法では、会社設立(発起設立)、増資等の場合、「払込金保管証明書」が不要となり、銀行から発行される通常の「残高証明等※2」で代用が可能となりました。従って資本金の払い込みを受けるために特別な口座を利用する必要はなくなりました。

残高証明の発行であれば、一定の手数料で簡単に発行することができます。また通帳の写しでも代用が可能となり、会社設立(発起設立)の場合は、発起人名義あるいは設立時代表取締役名義の普通預金口座に出資金を振り込んだ後、この事実を記帳した後は、出資金を引き出し、事業に使うことができます(ただし、会社としての事業用銀行口座の開設は通常登記後でないと銀行も応じてくれません)。増資の場合には、会社の通常の事業用銀行口座に振り込んでもらえればよいわけです。このように登記申請にかかる時間、費用を大幅に節約することができ、従来よりも簡単に会社設立(発起設立)、増資等を行えるようになりました。

注意を要するのは海外の発起人あるいは株主からの振込みです。外国送金を受ける場合、通帳等には振込み人名義が正しく印字されないため、別途送金明細などで振込み人名を確認することが必要になったり、また、受け入れ銀行でリフティングチャージがかかるので予めそれを見越して、リフティングチャージ差し引き後で所定の増資額等になるよう、多めに送金してもらう工夫が必要です。

※1 株式会社の設立形態には、発起設立と募集設立があります。実務上多い発起人のみで設立させる発起設立は、「保管証明書」が不要となりました。ただし、発起人以外からも出資者を集い会社を設立する募集設立の場合は、株式申込人を保護する必要性が高いことから、「保管証明書」が必要となります。

※2 「残高証明書等」とは、残高証明書及び預金通帳の写しを意味します。

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