市場VaR(Value at Risk)

市場VaR(Value at Risk)

市場リスクとは、金利、為替、株式等の様々な市場の変動により、資産・負債の価値が変動し損失を被るリスク(経済価値の変動リスク)、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク(損益の変動リスク)と定義されます。

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市場VaRとは、一般に、このうち経済価値の変動リスクについて、過去一定期間(観測期間)の金利、為替、株式等の市場の変動データに基づき、将来のある一定期間(保有期間)のうちに、ある一定の確率(信頼水準)で、当該金融資産・負債が損失を被る可能性のある最大損失額を統計的手法により推定した値のことをいいます。

例えば、あるポートフォリオについて、その保有期間を10日、信頼水準を99.00%として市場VaRが1億円だとすれば、保有期間10日間で、このポートフォリオの評価損失が1億円(市場VaR値)を越える確率が1.00%、つまり100日の内99日は日次評価損失が1億円(市場VaR値)の範囲内であり、1日は1億円(市場VaR値)を超える可能性があることを意味しています。なお、銀行のトレーディング勘定におけるマーケットリスク規制では、観測期間1年以上、保有期間10営業日以上、信頼水準99%が要件となっています。

市場VaRの普及

市場VaRは、金利、為替、株式等の様々な市場の変動による被る損失を、一定の蓋然性のもとで予め特定したリスクファクター(2年円スワップ金利、10年円スワップ金利、TOPIX、等)の変動により予想損失額を想定し、共通の尺度として管理できるようにした指標です。そのため、経済資本管理において経営体力との比較を行う、規制資本の計算においてマーケットリスク相当額を計算するといったことに、適した指標といえます。

市場VaRは1990年代初頭から欧米金融機関で使用され始め、日本でも、1993年に発表されたマーケットリスク規制における内部モデルとしてのVaR手法の採用、金融検査マニュアルにおける内部管理への市場VaRの利用の明示等の規制・監督の強化の流れに応じて、メガバンク・大手金融機関から地域金融機関まで広く普及しました。最近では、バーゼルIIにおいて統合リスク管理(経済資本管理)が導入されたこともあり、市場リスクのみに留まらず信用リスク及びオペレーショナル・リスクといった定量化に適したリスク全般においてもVaRの手法を利用した管理が広がりつつあります。

市場VaRの限界と対応

市場VaRは、特定のリスクファクターの観測期間における過去の市場変動データをもとに計測されるため、証券化商品のようにリスクファクターの特定が難しい商品のリスク、市場流動性リスクのように市場で観測することが難しいリスクファクターに起因するリスク、さらに、リーマンショックのような100年に一度といったストレス状態に陥るリスク(テイルリスク)を適切に捉えることができません。そのため、経済資本管理に市場VaRを利用する場合には、こうした市場VaRの前提及び限界を十分に認識した上で、市場VaRによる管理に加え、市場VaRの限界を補完するための取組みも合わせて行うことが必要になります。このようなVaRの限界を補完する方法の一つにストレステストがあり、リーマンショック以降、顕在化したことのない潜在的な(フォワードルッキングな)ストレスシナリオに基づくストレステストを実施することが重視されるようになりました。

また、規制資本のマーケットリスク相当額の計算に使用する内部モデルについても、市場VaRの限界を補完するために、バーゼル2.5では、従来の市場VaRにストレスVaR(過去のストレス期間のシナリオを反映したVaR)を加算する方法が採用されました。さらに、バーゼル銀行監督委員会における「トレーディング勘定の資本賦課に対する抜本的見直し」中では、テイルリスクをより適切に捕捉する指標として、市場VaRから期待ショートフォールへの移行が検討されています。

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