IFRIC解釈指針第21号「賦課金」の公表 | KPMG | JP

IFRIC解釈指針第21号「賦課金」の公表

IFRIC解釈指針第21号「賦課金」の公表

IFRSニュースフラッシュ - 国際会計基準審議会(IASB)は、2013年5月20日、IFRIC解釈指針第21号「賦課金」を公表しました。本解釈指針は、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従って認識される、賦課金(levy)の支払いに係る負債の会計処理を取り扱っています。本解釈指針は、2014年1月1日以降開始する事業年度から適用されます。早期適用も認められます。

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要約

  • 本解釈指針は、IAS第37号の範囲に含まれる賦課金に係る負債に適用される。また、支出の時期及び金額が確定している賦課金にも適用される。
  • 賦課金の支払いに係る負債を生じさせる債務発生事象は、法令により規定される、賦課金の支払いの契機となる活動である。
  • 債務発生事象が一定の期間にわたって発生する場合、賦課金の支払いに係る負債を漸進的に認識する。
  • 一定の基準値(以下、閾値という)に達した時点で支払い義務が生じる賦課金については、その閾値に達した時点で負債を認識する。
  • 年次財務諸表に適用する認識原則は、期中財務報告にも適用する。

本解釈指針の背景

IAS第37号に従って会計処理を行う、賦課金の支払いに係る負債の認識時点を明確化するように、IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)に対して要望書が寄せられた。具体的には、賦課金の金額の算定に用いる財務データが、賦課金の支払いの契機となる活動が発生した期間より前の期間に基づいている場合の会計処理について、明確化することが求められた。

2012年5月31日にIFRIC解釈指針案「特定の市場で営業する企業に対して公的機関により課される賦課金」(以下、2012年の解釈指針案という)が公表された。それに寄せられたコメントに基づいてさらに審議を重ね、今般、すべての賦課金に関する指針として本解釈指針が公表されている。

本解釈指針の範囲

本解釈指針では、賦課金を定義した上で、取り扱うものと取り扱わないものが明確に示されている。

賦課金は、政府が法令に従って企業に求める経済的便益のある資源の流出であると定義されている。ただし、以下は本解釈指針でいう賦課金には含めない。

  • 他の基準書の範囲に含まれる資源の流出(例えば、IAS第12号「法人所得税」の範囲に含まれる法人所得税)
  • 法規制違反によって科される罰金その他の違約金

なお、ここでいう政府とは、地方、国家または国際機関のいずれかを問わず、政府、政府機関及び類似の機関をいう。

本解釈指針において取り扱うものと取り扱わないものは、それぞれ次の表のとおりである。

本解釈指針で取り扱う 本解釈指針で取り扱わない
  • IAS第37号の範囲に含まれる賦課金
  • 支出の時期及び金額が確定している賦課金
  • 賦課金の支払いに係る負債の認識に関連するコストを資産とするか費用とするか
  • 政府との契約における資産の取得またはサービスの提供から生じる支払い
  • 排出権取引制度に係る負債

2012年の解釈指針案では、適用範囲について、特定の市場で営業する企業に対して公的機関が課す賦課金に関するいくつかの特徴のみが提示されていた。本解釈指針では、賦課金の定義が明示されており、定義を満たすすべての賦課金が適用範囲に含まれる。この結果、本会計指針の適用範囲は、2012年の解釈指針案より拡大されたといえる。

また、賦課金の支払いに関する時期又は金額が不確実な引当金と、支出の時期及び金額が確定している賦課金の支払いに関する負債については、同じ認識規定を適用すべきである。このため、本解釈指針は、IAS第37号の範囲に含まれる賦課金のみならず、支出の時期及び金額が確定している賦課金にも適用されることを明らかにした。

なお、2012年の解釈指針案では、賦課金の支払いに係る負債から生じるコストを、費用として会計処理することが提案されていた。

本解釈指針はこの点については取り扱わず、他の基準書を適用して、資産または費用として認識すべきか否かを決定することを求めている。

本解釈指針案の内容

本解釈指針は、賦課金の会計処理を明確化するために、次の原則を示している。


債務発生事象
賦課金の支払いに係る負債を生じさせる債務発生事象は、法令が規定する、賦課金の支払いの契機となる活動である。例えば、前期に発生した収益に基づいて賦課金の金額を算出するものの、当期に収益が発生することを契機として賦課金の支払義務が生じる場合、賦課金の債務発生事象は、当期に収益が生じることである。前期に発生した収益は必要であったが、現在の債務を生じさせるものではない。


将来において営業し続ける経済的義務
将来において営業し続けることが経済的に強制されるとしても、企業は、将来の期間の営業を契機として生じる賦課金に係る推定的債務を有さない。


ゴーイング・コンサーンの原則
ゴーイング・コンサーンの原則に基づいて財務諸表を作成することは、将来の期間の営業を契機として生じる賦課金に係る現在の債務があることを意味しない。


一定期間にわたって発生する債務発生事象
現在の債務の契機となる活動が一定の期間にわたって発生する(すなわち、法令で規定する賦課金の支払いの契機となる活動が、一定の期間にわたり発生する)場合、賦課金の支払いに係る負債を漸進的に認識する。例えば、債務発生事象が一定の期間にわたって収益が生じることである場合、収益の発生に伴い、賦課金の支払いに係る負債を認識する。


最低限の閾値
賦課金の支払義務が、最低限の閾値に達することを契機として生じる場合、本解釈指針の原則に従ってその負債を会計処理する。例えば、ある活動(例:最低限の収益、売上高や生産高等)が、最低限の閾値に達することが賦課金の契機となる場合、債務発生事象は、活動が最低限の閾値に達した時点であり、その時点で負債を認識する。


期中財務報告
年次財務諸表に適用する認識原則は、期中財務報告にも適用する。その結果、期中財務報告に関する取扱いは次のとおりとなる。

  • 期中報告期間の末日において、賦課金の支払いに係る現在の債務を有していない場合、賦課金の支払いに係る負債は認識しない。
  • 期中報告期間の末日において、賦課金の支払いに係る現在の債務を有している場合には、賦課金の支払いに係る負債を認識することが求められる。


前払い
現在の債務がまだ発生していないものの、賦課金の前払いを行った場合、資産を認識する。

なお、2012年の解釈指針案では、最低限の閾値のある賦課金を範囲から除外することが提案されていたが、このような賦課金についても指針を示すべきであるとする多くのコメントが寄せられた。

本解釈指針における設例

本解釈指針における原則の補足説明として、次の4つの設例が提供されている。

<設例1>収益の発生に伴い、賦課金の支払義務が漸進的に発生するケース

前提条件

  • A社には、20X1年における収益の発生に伴い、賦課金の支払義務が漸進的に発生する。
  • 賦課金は、20X1年に生じる収益に基づいて算定される。

会計処理

  • 法令により規定される債務発生事象は、20X1年に収益が生じることであるため、A社は収益の発生に伴い、負債を漸進的に認識する。


<設例2>収益が生じる最初の日に賦課金の支払義務が発生するケースする。

前提条件

  • B社は、20X1年に収益が生じる最初の日に賦課金の全額に関する支払義務が発生する。
  • 収益が生じた最初の日は20X1年1月3日である。
  • 賦課金は、前年の20X0年に生じた収益に基づいて算定される。

会計処理

  • 法令により規定される債務発生事象は、収益が最初に生じた日であるため、B社は一時点で(20X1年1月3日に)賦課金の全額を負債として認識する。


<設例3>特定の日に銀行として営業している場合、賦課金の支払義務が発生するケース

前提条件

  • C社は、年次報告期間の末日(20X1年12月31日)において銀行として営業している場合、賦課金の支払義務が発生する。
  • 賦課金は、年次報告期間の末日(20X1年12月31日)における財政状態計算書のデータに基づいて算定される。

会計処理

  • 法令により規定される債務発生事象は、年次報告期間の末日において銀行として営業していることであるため、C社は一時点で(20X1年12月31日に)賦課金の全額


<設例4>最低限の閾値を超える収益の発生に伴い、賦課金の支払義務が発生するケース を負債として認識する。

前提条件

  • D社は、20X1年に50百万以上の収益が発生した場合に、賦課金の支払義務が発生する。20X1年7月17日に収益が50百万に達した。
  • 賦課金は、次のとおり算定される。
ケース(1) ケース(2)

賦課金は、20X1年における50百万円以上の収益に基づいて算定される(例えば、50百万未満の収益については0%で、50百万以上の収益については2%で算定される)。

賦課金は、20X1年におけるすべての収益に基づいて算定される(例えば、50百万未満の収益については0%で、50百万以上の収益については2%で算定される)。

会計処理

  • 法令により規定される債務発生事象は、最低限の閾値の達成後の活動であり、D社は次のとおり負債を認識する。
ケース(1) ケース(2)

20X1年7月17日に最低限の閾値を達成してから期末日までの最低限の閾値の達成後の収益の発生に伴い、負債を認識する。

20X1年7月17日に最低限の閾値を達成してから期末日までに発生したすべての収益に基づいて負債を認識する。すなわち、20X1年7月17日に最低限の閾値を達成した時点で最初の50百万の収益に対して負債を認識し、閾値達成後の収益の発生に伴い、負債を漸進的に認識する。

適用日及び移行規定

本解釈指針は、2014年1月1日以降に開始する事業年度から適用される。早期適用は認められるが、その場合、早期適用した旨を開示する。また、本解釈指針の適用に伴い会計方針を変更する場合には、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及適用する。

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