域外適用

域外適用

従来、本邦金融機関にとってコンプライアンスとは、国内法令等に照らして違反がないことを確保することが目的でした。しかしながら、昨今の状況を見てみると、従来の認識のまま対処するだけでは不十分と言わざるを得ない事象が次から次へと出来しています。代表的なものとしては、マネー・ローンダリング、贈収賄、租税回避等の領域が挙げられます。

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米英の法規制や当局対応において、当該国内にとどまらず、本邦も含め広く法規制や罰則が適用される(されうる)状況となっており(域外適用)、自社における適用可能性や、可能性がある場合の対応を行うことが重要となっています。

代表的な域外適用

マネー・ローンダリング関連

FATF

国際的な取り組みとして、政府間会合であるFATF(金融活動作業部会)が設立され、国が採用すべき政策項目(国が金融機関に対し求めるべき項目を含む)を定めたFATF勧告の公表や、勧告に基づく各国間の相互審査等が実施されています。2013年4月の犯罪収益移転防止法の改正は、上記相互審査結果が契機となっており、今後も当該勧告等に沿って取組強化が求められる可能性があります。

米国における諸法規制

本邦を含む金融機関は従来から、いわゆるOFAC規制対応として、国際送金のフィルタリングや口座の凍結を実施してきました。近時当該対応への当局検査等が厳格となっており、巨額のペナルティに至る事例が頻出しています。この他、2012年8月には、イラン、シリアに対する制裁強化を目的とした法律(”Iran Threat Reduction and Syria Human Rights Act of 2012”)が成立し、SEC上場企業に対し、イラン、シリア関連取引の報告が求められる等、義務の拡大が顕著です。

贈収賄関連

FCPA(海外腐敗防止法)

米国の贈収賄に関する法規制です。米国内法ですが、域外適用が顕著であり、本邦国内企業への適用事例もみられます。また、8億ドルのペナルティが課されるケースがある等、厳罰化も顕著です。

UKBA

英国の贈収賄に関する法規制です。FCPA同様、域外適用が想定されています。

租税回避関連

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)

海外口座を利用した米国人の租税回避の防止を目的とする米国の法規制です。本邦を含む米国外金融機関に対し、IRS(米国内国歳入庁)との契約(または登録)、自社の顧客における米国(法)人口座の検出、IRSに対する米国(法)人口座情報の報告、一定の顧客等への支払時の源泉徴収等を求めるものです。なお、金融機関の負担軽減のため、米国・本邦間の政府間合意の締結が予定されていますが、その場合でも一定の対応が求められます。

対応にあたって

従来型のコンプライアンスは、「国としての法規制」に対応する形での「金融機関内の統制」という文脈で位置づけられていました。ところが、域外適用は、このような前提で対応しても適切に機能が発揮できません。背景には、マネー・ローンダリングや租税回避に代表されるように、金融犯罪が国際化する中、金融システム・金融機関が悪用されることへの問題意識や、対策への国際的な要請が、従来にもまして高まっていることがあります。

狭義と広義のコンプライアンス

この点、「国内法に照らして問題がないかどうか」という観点は、上記の「国としての法規制」に対するコンプライアンスです。法規制も、そもそもは脅威に対する防衛手段として国が定めたものです。本来の脅威が大きく変貌し、金融システムや金融機関の存立基盤を危うくしている状況が知らず知らずのうちに進行しているとすれば、「国内法に照らして問題がないかどうか」の観点だけのコンプライアンスでは不十分です。このような脅威に対し、国内法が仮に、必ずしも万全とはいえない状況であったすれば、海外から域外適用という形で無理難題をつきつけられるか、さもなければますます巧妙化し猛威をふるう金融犯罪によって悪用されるか、という構造変化の中にいるという環境認識が必要です。このような環境変化に対して、適者生存をいかに勝ち取るかという闘いの武器としてコンプライアンスは機能しなければならない状況にあります。

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