GRIガイドライン第4版(G4ガイドライン)の発行 | KPMG | JP

GRIガイドライン第4版(G4ガイドライン)の発行

GRIガイドライン第4版(G4ガイドライン)の発行

2013年5月22日から24日までアムステルダムで開催されていたGlobal Reporting Initiative(GRI)の国際会議において、サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン(GRIガイドライン)の第4版(G4ガイドライン)が発行されました。

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GRIガイドライン第3版(G3ガイドライン)が2006年に発行されてから、ほぼ7年ぶりの大幅改訂となりますが、改訂作業の中で特に重視されたのが「重要性へのフォーカス(Materiality focus)」です。G3ガイドラインの発行により、GRIガイドラインに準拠して報告を行う企業には「GRIアプリケーションレベル」を自己宣言することが求められるようになりましたが、多くの情報を開示すればするほど「高い」アプリケーションレベルを自己宣言できることから、重要性がさほど高くない情報も含め、開示される情報量が増大する傾向を助長することにもなってしまっていました。また、アプリケーションレベルの高さが、企業の情報開示の質の高さやサステナビリティパフォーマンスの高さを表わしているかのような誤解を招いているのではないかという指摘もありました。

G4ガイドラインでは、AからCの3段階のアプリケーションレベルが廃止され、代わりに ”Core”と”Comprehensive”の2つの準拠性規準が導入されました。新しい準拠性規準でも、一定のパフォーマンス情報の開示が求められますが、開示が求められるのは「特定された重要な側面(identified material Aspects)」に関するパフォーマンス情報のみとなります。つまり、報告組織にとって重要でない情報は報告する必要がありません。ただし、報告組織には、どのように開示情報を特定したのかというプロセスやその結果として特定された重要な側面のリストを開示することが求められます。

G4ガイドラインの概要について、以下、G3ガイドラインと比較しながら整理します。

G4ガイドラインの構成

G3ガイドラインではガイドライン本編と指標プロトコルに大きく分かれていましたが、G4ガイドラインは、”Reporting Principles and Standard Disclosures”と”Implementation Manual”の2部構成となっています。前者では、報告内容の確定や報告の品質に関する原則(Reporting Principles)、標準開示(Standard Disclosure)、準拠性規準などが示されており、後者では、原則や標準開示に関する理解を助けるための解釈指針が示されています。

「カテゴリー」と「側面」

G4ガイドラインにおける「カテゴリー(Category)」と「側面(Aspect)」はG3ガイドラインから大きな変更はありませんが、以下のとおり、若干の追加等があります。

G4ガイドラインにおけるカテゴリー(Category)と側面(Aspects)

Economic

Aspects G3.1ガイドラインからの変更点
Economic performance
 
Market presence
 
Indirect economic impacts
 
Procurement practices Market presenceから分離

Environmental

Aspects G3.1ガイドラインからの変更点
Materials  
Energy  
Water  
Biodiversity  
Emissions EmissionsとEffluents and wasteに分解
Effluents and waste  
Products and services  
Compliance  
Transport  
Overall  
Supplier environmental assessment 新規
Environmental grievance mechanisms
新規

Social

Sub-categories Aspects G3.1ガイドラインからの変更点
Labor practices & decent work Employment  
Labor/management relations  
Occupational health and safety  
Training and education  
Diversity and equal opportunity  
Equal Remuneration for women and men 新規
Supplier assessment for labor practices 新規
Labor practices grievance mechanisms 新規
Human Rights Investment Investment and procurement practicesから変更
Non-discrimination  
Freedom of association and collective bargaining  
Child labor  
Forced and compulsory labor  
Security practices  
Indigenous rights  
Assessnemt 新規
Supplier human rights assessment 新規
Human rights grievance mechanisms 新規
Society Local communities  
Anti-corruption Corruptionから変更
Public policy  
Anti-competitive behavior  
Compliance
 
Supplier assessment for impacts on society 新規
Grievance mechanisms for impact on society 新規
Product Responsibility Customer health and safety
 
Product and service labeling  
Marketing communications  
Customer privacy  
Compliance  

(出典) GRIガイドライン(G3.1, G4)よりKPMGあずさサステナビリティ作成

準拠性規準と重要性の考え方

G4ガイドラインでは、AからCの3段階のアプリケーションレベルが廃止され、代わりに”Core”と”Comprehensive”の2つの準拠性規準が導入されました。Coreではサステナビリティレポートの重要な要素を含んでいることが求められますが、Comprehensiveの場合はCoreよりも報告組織のパフォーマンスをより詳細に説明することが求められます。CoreとComprehensiveのそれぞれについて準拠するための規準は以下に示すとおりであり、2つの規準間で異なるのは、Strategy and analysis、Governance、Ethics and integrity、Indicatorsの部分です。

G4ガイドラインへの準拠のために求められる情報開示

Standard Disclosures Core Comprehensive
<General Standard Disclosures>    
Strategy and analysis G4-1 G4-1, G4-2
Organizational profile G4-3~G4-16 G4-3~G4-16
Identified material aspects and boundaries G4-17~G4-23 G4-17~G4-23
Stakeholder engagement G4-24~G4-27 G4-24~G4-27
Report profile G4-28~G4-33 G4-28~G4-33
Governance G4-34 G4-34, G4-35~G4-55(*)
Ethics and integrity G4-56 G4-56, G4-57~G4-58(*)
General standard disclosures for sectors セクターガイダンスがある場合には必須(*) セクターガイダンスがある場合には必須(*)
<Specific Standard Disclosures>    
Generic disclosure on management approach
重要な側面(material Aspects)についてのみ(*) 重要な側面(material Aspects)についてのみ(*)
Indicators 特定された重要な側面について少なくとも1つの指標(*) 特定された重要な側面について全ての指標(*)
Specific standard disclosures for sectors セクターガイダンスがあり、かつ、重要な場合には必須(*) セクターガイダンスがあり、かつ、重要な場合には必須(*)

(*)特別の理由のために特定の情報の開示を省略する場合には、省略した情報とその理由を明示する必要がある。

(出典)GRIガイドライン(G4)よりKPMGあずさサステナビリティ作成

Coreの場合もComprehensiveの場合も、マネジメントアプローチやパフォーマンス指標に関しては、重要な側面についてのみ開示が求められます。「重要な側面(material Aspect)」は、G4ガイドラインにおいて、「組織の著しいインパクトを反映する側面、あるいは、ステークホルダーの評価や意思決定に大きな影響を与える側面」と定義されており、G3ガイドラインでの重要性の定義からの変更はありません。これにより、報告組織にとって重要でない情報は報告する必要がなくなりますが、どのように開示情報の特定プロセスに関する詳細な説明や特定された重要な側面のリストを開示することが求められるようになります。G4ガイドラインでは、重要な側面やバウンダリを特定するための詳細なプロセスが示されています。

また、準拠性規準の1つ(G4-32)としてGRI内容索引(GRI Content Index)を示すことが求められていますが、この索引の様式もG3から変更されています。CoreとComprehensiveのそれぞれについて別々の様式が提示されており、開示情報の開示箇所(ページ)と外部保証の有無を指標ごとに明確に示すものとなっています。特に、Comprehensiveの場合は標準開示として求められている指標を開示しない場合はその理由を明記することになっています。

追加された指標

パフォーマンス指標は、G3ガイドラインから大幅には変わっていませんが、いくつか削除された指標がある一方で、合計で16の新しい指標が追加されています。経済パフォーマンス指標では追加された指標はないものの、環境パフォーマンス指標では6指標、社会パフォーマンス指標では10指標が追加されており、共通して追加された指標としては、サプライヤー評価や苦情処理メカニズムに関する指標があります(G4-EN32~34、G4-LA14~16、G4-HR10~11、G4-SO9~11)。パフォーマンス指標以外の開示項目としては、特にガバナンスに関する開示項目が多数追加されています。

マネジメントアプローチ

個々の側面(Aspect)について、マネジメントアプローチとして以下のことを説明する必要があります。

  • 何故この側面が重要なのか。
  • どのように当該側面を管理しているのか。
  • マネジメントアプローチの有効性を評価するためのメカニズム、評価結果、マネジメントアプローチに対して行われた修正。

G4への移行期間

G3ガイドラインからG4ガイドラインへ移行するための期間として約2年間が設けられています。2015年12月31日までに発行するレポートまではG3ガイドラインを用いることができますが、それ以降はG4ガイドラインを用いることになります。

まだしばらくの間はG3ガイドラインを用いることができるとも言えますが、G4ガイドラインに対応するためには一定の準備期間が必要となりますので、可能な限り早いタイミングで計画的に対応を開始することが重要です。

統合報告(Integrated Reporting)との関係

G4ガイドラインでは、統合報告とサステナビリティ報告は目的が異なるものの、サステナビリティ報告は統合報告に欠かせない要素であるとしています。また、詳細な情報について、統合報告から法定財務報告やサステナビリティ報告書などを参照するなど、統合報告とサステナビリティ報告が併存する形態を示唆しています。

統合報告は発展段階にあり、今後の検討と実務の進展を待つところが多い状況ですが、主に投資家に焦点を絞った報告形態を志向しているため、他のステークホルダーにとって重要と考えられるサステナビリティ情報が開示されないことも想定されます。特に統合報告を検討している企業は、サステナビリティ報告との関係をどのようにするのか、今後の統合報告の議論を視野に入れながら検討・判断していくことが必要になります。

G4ガイドラインはこちら からダウンロードすることができます。

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